2020年米大統領選(9):早すぎる予想

今日は大統領選の「早すぎる予想」をしてみたいと思う。

すでに多くの方から「来年は誰が勝つと思いますか」と訊かれている。現職ドナルド・トランプが再選を果たすのか、それとも民主党候補がトランプを負かすのか、はたまたスタバ創業者ハワード・シュルツが独立候補として参戦して当選するのか。

組織に所属する記者や政治学者は予想が外れたときに責任をとらなくてはいけなくなるので、軽はずみに誰が勝つかを口にしないが、フリーランスのジャーナリストとしてはドンドン予想を述べていきたいと思う。ただ来年の秋までは、「現時点では」という条件つきである。

現時点の予想はズバリ、トランプである。「トランプ強し」と言わざるをえない。

大統領選の取材をはじめて今回の選挙で8回目になる。経験がいかされることもあるが、毎回新しい要素や事象が加味されるので、あらゆる角度から総合的に判断をしていかなくてはいけないと思っている。その上でのトランプである。もちろん個人的な感情は除外している。

まず、トランプは選挙資金の集まり方が現時点で民主党候補を圧倒している。トランプが再選の申請を連邦選挙管理委員会にだしたのは2017年1月20日。就任式の当日である。そこからカネ集めをスタートさせて、すでに150億円以上の資金を集めている。過去2カ月間に出馬表明した民主党候補とでは差がありすぎる。

米経済も現時点では好況で、現職には有利だ。低い失業率とインフレ率、GDP成長率も悪くなく、企業業績も伸びている状況で現職が負ける要素は少ない。

トランプの支持率は42%ほどで決して高くないが、トランプが暴言を吐こうが独善的な政策を打ち出そうが、国民の約4割はトンラプ支持で揺るがない。

さらに言えるのは民主党候補の顔ぶれが情けないということだ。ベト・オルークカマラ・ハリス、コーリー・ブッカーという勢いのある若手候補もでているがが、トランプを打ち倒せるようには思えない。現時点では役不足である。

支持率ではまだ出馬していない前副大統領ジョー・バイデンが民主党候補の中ではトップに来ているが、新鮮味がない。「ベイクドケーキ(焼き上げられたケーキ)」と揶揄されるように、味も形も知れ渡ったケーキ(政治家)である。

「無難なおじいちゃん」がトランプを上回る強烈な個性や政策を打ち出せるのか。

個人的には、オルークが今後1年8ヵ月でどれだけ化けられるかにかかっているように思える。怪物に育ってほしいというのかが民主党サイドの希望でもあるはずだ。(敬称略)

beto3.20.19

パンクロッカー時代のオルーク(Photo from Twitter)