マスコミはAIに取って代わられるのか

報道に携わっている者として、毎日世界中で起きているニュースを見聞きしている。

ネットニュースが進化しつづけているので、新聞や雑誌といった従来からある紙のニュースは大きく減速したように感じられる。止まりはしないが、スピードは格段に遅くなった印象が強い。

実は当ブログで2007年と12年にも同じ内容のことを書いている。紙メディアはまだ終わっていないが、下り坂を降り続けたままだ(http://ur0.work/PCpj)。

以前アメリカで発表された予想の中に、14年までにニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナルの3紙だけが生き残り、残りの新聞はオンラインに移行するというものがあった。これは先を読み過ぎていた。19年になったいま、いまだに多くの紙媒体が残っている。

それでも採算がとれなくて記者を解雇したり、コスト削減をせざるを得ない新聞社はあとを絶たず、経営は厳しい。日本でも同じである。

米国防大学の予想では2040年までに紙の新聞は終わるとしているが、これも予想に過ぎない。いつになってもプロの記者が取材し、ニュースとして正確に伝える作業はかかせないだろう。

ただAIが究極の進化を遂げた時、ドローンが上空から状況を把握し、記者ロボットがインタビューをして人間が書く以上の優れた記事を提供できるかもしれない、、、があくまで仮説であり、いまの私にはわからない。

2020年大統領選(1)

年が明けて、いよいよ2020年の米大統領選が始まろうとしている。メディアを含めて一般の方にとっては「まだ早いだろう」との思いがあるかもしれない。選挙は来年11月3日だからだ。

だが私にとっては「もう始まっている」選挙なのだ。

というのも今月に入り、トランプの再選を阻むために民主党から主要候補がすでに出馬表明をしている。私はアメリカの大統領選を「ライフワーク」と述べているので、今から注視しないわけにはいかない。

当ブログでは来年11月3日の投開票日まで随時、大統領選の情報を提示し、分析を試みていきたい。

1月22日現在、3人の主要候補(民主党)が出馬表明している。

フリアン・カストロ(前テキサス州サンアントニオ市長)1月12日表明

カースティン・ジリブランド(連邦上院議員)1月15日表明

カマラ・ハリス(連邦上院議員)1月21日表明

泡沫候補も含めるともっと多いが、今後トランプを倒せるだけの力を備えた人物となるとそれほど多くはない。

最終的にはトランプが「勝つか負けるか」に集約されるが、1年10カ月のプロセスで候補だけでなく、さまざまな問題や政策にスポットライトがあたり、議論されていくところに大統領選の価値がある。

人気だけでなく、指導者として持つべき知力、組織力、集金力、統率力、体力が試される。最後まで勝ち抜ける持久力がある候補だけが来年の11月まで生き残り、トランプと一騎打ちすることになる。

いまから楽しみである。

ツイッターの威力

aoc1.20.19

Photo from twitter

エレベーターから身を乗り出している女性が誰だかおわかりだろうか。

昨年11月の米中間選挙で連邦下院に当選したアレクサンドリア・オカシオ・コルテスだ。史上最年少で下院議員になった女性で、現在29歳。

政治家としてはスタートを切ったばかりだが、コルテスにはどの連邦議員よりも優っているものがある。ツイッターのエンゲージメント数だ。

エンゲージメントはリツイートと「いいね」の数で、閲覧者数とは違う。ちなみに、昨年12月17日から今年1月17日までの1カ月間で、ニューヨークタイムズのエンゲージメント総数は190万、CNNでも330万。だがコルテスは1430万を記録した。

若者世代からの圧倒的な支持を得ているからでもあるが、SNSをどれだけ有効に使えるかがいまの政治家の力を測るバロメーターになっている。

ちなみにもっともエンゲージメント数が多いのはトランプで4180万。「彼のことが嫌い」という人が多い一方で、多くの人から関心をもたれているのも事実だ。

憎まれっ子世にはばかるということか。(敬称略)

英語のむずかしさ

私は原稿を書いたり、放送メディアに出演したり、さらに講演や大学での講義などで生計をたてている。

ワシントンでジャーナリストとして独立したのが1990年。以来ほぼ30年間、メディアの世界で生きてきた。けれども独立した直後は原稿の依頼が少なく、翻訳や通訳、さらに日本語のナレーションのアルバイトをしていたのを思いだす。

アメリカに渡って8年目だったので、英語はそれなりに使えていた、、と思っている。だが、いつも内心ヒヤヒヤしていた。翻訳はまだしも、通訳の仕事は「瞬間の勝負」なので、英語のわかる人の前では冷や汗ものだった。

というのも、プロの通訳になるための訓練を受けた経験がなかったからだ。同時通訳は太刀打ちできなかったので逐次通訳を引き受けていた。それでも今思うと、ずいぶん無謀なことをしていたというのが素直な気持ちだ。

自分から「通訳としての仕事をください」と手を挙げたことはなかった。最初は「できる人が他にいないから、堀田さんお願いします」といった流れで仕事がきていた。よく引き受けたものである。

慣れもあるが、私情をはさまずに的確に相手の言ったことをもう一つの言語にしていくことは大変な作業だ。すべてを訳しきれずに、肝心なところだけを通訳した場面が何度もあった。わからない単語も出てくる。だからいつも冷や汗をかいていた覚えがある。

何故こんな話を書いたかというと、今日、編集者とランチを共にした時、英語の本の話がでたからである。いま本屋に並んでいる本の中には数百語、いや数語の英単語の使い方をマスターすれば、英語はできるようになるといった「誇張本」がまかり通っている。ほとんどジョークの世界である。

英米人は大学を卒業したあたりで、英単語を4万語ほどは知っているかと思う。日本人がそのレベルに達することは難しいが、私の肌感覚では2万語くらいをものにしていないとCNNを自然に聴き流せないだろうと思う。

だから数千語でもゼンゼン足りないし、話ができているレベルにならないというのが実感である。

「誇張本」には誤魔化されないでほしい。

米連邦政府の閉鎖で政府職員がホームレスに?

年が明けて、米社会ではこれまで経験したことのないような事態が起きている。誇張しているわけではない。

昨年末に書いた筆者の記事(経済好調でも増えるホームレス、病魔に冒された米社会)で指摘したことが、現実に起きているのだ。どういうことなのか御説明したい。

ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)と連邦議会はメキシコ国境に建設予定の壁の予算案で対立したことで、昨年12月に暫定予算が失効。

1月14日現在、政府機関の閉鎖日数は米史上で最長を更新している(続きは・・・米連邦政府の閉鎖で政府職員がホームレスに?)。