カショギ殺害事件

サウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギが殺害された事件について3つのことを指摘したい。

最初はサウジアラビア(イスタンブール領事館)という国家が反体制派のジャーナリストを殺した大罪を、あらためて世界に問う必要があるということだ。サウジアラビアはこれまでも多くの反体制派の人間を殺害してきたと言われるが、カショギは当初、行方不明と伝えられた。

kyashoggi1021.18

Photo from Twitter  カショギ氏とフィアンセ

その後、殺害されてから遺体はバラバラに解体されたといわれ、20日になるとサウジ政府は領事館内で職員と口論になり、複数の人間によって殴り殺されたと説明した。

こうなると何が真実なのかわからない。少なくとも国家が1人のジャーナリストを殺害したことは間違いなく、同じジャーナリストとして悲しいといったレベルを通りこして、サウジ政府への激憤をいだく。サウジ政府と実行犯は国際的な裁きを受けてしかるべきである。

2番目は、殺害が領事館にいる15人の政府職員によって行われ、サウジアラビアの皇太子、ムハンマド・ビン・サルマンによる命令で実行された可能性が高いことだ。連邦上院外交委員会メンバーであるランド・ポールは21日、「サルマン皇太子が命令しているはず」と述べている。

ワシントンポスト紙にもコラムを書いていたカショギは、サウジ政府への批判を恐れなかった。国家が1人のコラムニストの意見を抹殺するために殺人も犯したのだ。上からの命令なしで職員たちが殺人を犯すだろうか。サウジ政府の悪行は許されない。

3番目はトランプの言い分が過去1週間で変わったことである。変節はいつものことだが、トランプは当初、カショギの死亡にサウジ政府は関与していないとしていたし、サウジ政府の説明を「信用できる」と言った。

しかし21日になってサウジ政府の言い分に「ウソ」があったと述べた。当初からサウジ政府の対応と説明には疑わしいところがあり、盟友であるサルマンをかばうために真実を見ようとしかなったと思われてもしかたがない。

「こんな大統領を信用できるわけがない」というのがまともな反応だと思うのがだが、いまでもアメリカの有権者の約4割がトランプ支持者である。(敬称略)

凄いことになっています

半年ぶりに渡米し、中間選挙を取材している。

投票日(11月6日)までほぼ半月。市民から話を聴くと、アメリカ社会はいままで以上に分断されている印象が強い。

共和党の人間はトランプを持ち上げ、民主党支持者はトランプの批判が止まらない。

「いまは彼らと仲良くしようという動きもなければ、そんな気もない。トランプが起点になって、家族が分断し、友人が分断し、会社が分断している」

民主党の議員に投票すると言った白人男性は「名前は出さないでほしい」と言いながら、「トランプは先天的といってもいいほどのウソつき」と言い切り、しばらく話を止めなかった。

反トランプのブルーウェーブ(民主党の政党色が青)が広がり、すでに期日前投票で一票をいれた有権者数が4年前の期日前投票数より4倍も多くなっている州もある。だが10月に入ってから焦りを感じた共和党の有権者が反発し始め、接戦になる選挙区も増えており、結果は簡単に読めない。

そんな時、2種類の宝くじでしばらく当選者がでていないことを知った。一等賞金が積み上がって「メガミリオン」と「パワーボール」合わせて1000億円を超えているという。

「買いましょう、買いましょう」

久しぶりにコンビニに行って買い求めた。(敬称略)

usalotto10.19.18

エッラヤッチャ よいよい

10.17.18tokushima

 

徳島県徳島市まで「弾丸スピーカー 」となって日帰りの講演をこなしてきた。

米中間選挙を3週間後に控え、トランプ政権のイマと中間選挙の展開について話をした。財界の方々を中心に熱心に聴いてくださった。

連邦下院ではすでに「共和党はいかに傷を浅くして負けるか」という議論にうつっている。トランプの与党共和党はほとんど勝ち目がないと思っている。

トランプの頭の中はすでに2020年の再選に向けられているはずだ。というのも昨年1月の政権発足以来、再選のためにカネ集めをしており、その額がすでに100億円を超えた。連邦選挙管理委員会(FEC)が発表した額である。

現職大統領が圧倒的に有利という理由がここにある。来春になって民主党の有力候補が出馬表明してくるだろうが、カネ集めという点ですでに大きな差がついている。これが何を意味するのか、ご察しの通りである。

徳島市にある空港の正式名称は「徳島阿波踊り空港」。ターミナルの外にある銅像が威勢のいい掛け声を発しているかのようだった。(敬称略)

テイラー・スウィフトが中間選挙にグイ

swift10.15.18

Photo from Instagram

著名人の影響力は決して過小評価できない――。

米中間選挙(11月6日)を前に、人気歌手テイラー・スウィフトさん(28)がインスタグラムで初めて政治的発言を行い、大きな波紋が広がっている。

カントリーポップ歌手の発言によって「中間選挙の結果が左右される」かもしれないのだ。

スウィフトさんの10月7日の発言以来、13日までに新たに選挙登録をした有権者は、非営利団体「ボート・オルグ」のよると40万人以上に達している。そのうち約25万人は30歳以下の若者だ(続きは・・・テイラー・スウィフトの背中を押した誤報)。

いまが買い時

何を買うのかと言えば「株」である。

10日のニューヨーク株式市場が急落したことで、余波が世界中に広がり、11日も続落となった。ニューヨークでは史上3番目の下げ幅を記録している。

直接の起因はFRB(連邦準備制度理事会)が利上げを繰り返しおこなっていることで、トランプは短絡的に「FRBはおかしくなっている」と批判した。

powell10.12.18

photo from twitter

FRBが株式市場の急落を計算していての利上げだったたかどうかはわからない。だがFRB議長のパウエルはトランプの批判などものともせず、これまで通りの金融政策をとり続けそうだ。

過去2年ほど株式市場は加熱気味で、調整局面が必要になると思っていたのでいい時期だったかもしれない。株式市場はこれまでも過熱されれば、ある時期にきてポーンと弾けて冷却期間がきていた。そしてまた上昇して弾けるということの繰り返しである。

エコノミストの予測は外れることが多く、私はほとんど当てにしていない。いまでも原稿執筆の引用として話をきくことはあっても、「見事に外れました」と書きたいことの方が多い。

なにしろ経済活動の流れはプロでも正確に読めないのだから。トランプが当選した直後の2016年11月9日、ポール・クルーグマンがこう言っていた。

「トランプ大統領はアメリカと世界にとって災害であり、予期しない悪い結果がおとずれるだろう。たぶん世界的な不況に直面するし、先は見えない」

だが過去2年、アメリカ経済は好況に沸いている。ノーベル経済学賞をとった人物であっても当たらないのである。

だから株価が低迷している時にこそ「買い」に走るべきであると思っている。いまよりももっと下がったらさらに買い足すくらいの心づもりがいい。(敬称略)