米ロの新たな覇権あらそい

これこそが米国らしさと言うべきなのだろうか。

同システムを導入した国は、どの国であろうとも制裁を課すと脅したほどである。

ロシア製であるだけに、ドナルド・トランプ政権が過敏に反応するのも分からなくはない。米政府の「許すまじ」という強いトーンの背後からは、単に敵対的な姿勢だけではない複雑な国家関係が浮上してきている(続きは・・・米国の覇権に赤信号、ロシア製最新鋭ミサイルの威力)。

マケインとの思い出

ジョン・マケインが亡くなった。過去20年以上、私は何度となく彼の演説を聞き、2000年大統領選では短い時間だったが話をする機会があった。

老練でありながら、けっして尽きないような活力を携えていた。話をするときは澄んだ瞳をこちらにむけて、眼球をつかまれるかのような迫力があった。

1967年にベトナム戦争に従軍したとき、パイロットだったマケインは撃ち落されて大ケガを負う。両手を骨折し、ベトナム兵に助けられるが満足な治療をしてもらえず、右手は生涯肩の高さよりも上にあげることができなかった。

1982年に連邦下院議員になり、87年からは上院議員として30年以上も再選しつづけた。共和党の議員でありながら、重要な社会政策では民主党主導の法案に賛成票を投じる人だった。トランプがオバマケアを廃止する法案の採決時も、トランプに反旗を翻した。

2000年の大統領選ではブッシュに敗れたが、ブッシュの任期がおわる2008年にまた大統領選に出馬。

Sen. John McCain, the Republican candidate for president in 2008, greets supporters at a rally in Prescott, Arizona, on the day before the general election. MUST CREDIT: Washington Post photo by Melina Mara

共和党の正式候補になったが、今度はオバマに大差をつけられて負けた。

しかし撃ち落されても諦めず、なんども這い上がってくるエネルギーには感服させられた。そして稀に見るほどの野心家だった。自身が思ったことは世界中を敵にまわしても貫き通すほどの強い信念の持ち主だった。

どれほど大統領になりたかったことか。トランプではなくマケインになってほしかったくらいだ。(敬称略)

縄文の美

上野の東京国立博物館で開催されている縄文展がもうすぐ終わる(9月2日まで)ので出かけてきた。

期待以上の展示で、満足感でいっぱいになった。展示物はもちろん、ライティングなどにも工夫が凝らされていて「いいね、いいね」を繰り返していた。

Jomon8.25.18

私は学生時代にマヤ文明を専門にした考古学者になろうと思っていた時期があったので、考古にはいまでも興味がある。今回の展示では、土器や土偶、装身具など200点以上が展示されていた。教科書にもでてくる遮光器土偶をはじめ、大型の土器もこれまでにないほどの点数がだされていた。

いくつか気づいたことがあった。あらためて縄文土器が作られた年代をみると、紀元前2000年から3000年という表示がある。エジプトでピラミッドが造られたのが紀元前2500年なので、時期がかさなる。

中米のマヤ文明でピラミッドが築かれたのは紀元後250年くらい、南米ペルーのインカ文明の興隆期は13世紀以降なので、紀元前2500年に縄文という文化を花開かせた日本人に誇りをもちさえした。

しかも土器や土偶が出土する場所は一カ所ではないのだ。北から北海道、青森、秋田、宮城、山形、群馬、栃木、埼玉、東京、山梨、長野あたりまで、広く分布している。しかも土器や土偶には共通するパターンがいくつも見られる。

すでに解明されていることかもしれないが、そこには中部地方から北日本にかけて統括された政治組織か文化規範があるように思えた。これまで発見された竪穴式住居の遺構から、村のような組織をつくって生活していたことがわかっているが、もう少し広範な社会文化圏があったのではないかとの疑問をもった。

学生時代もそうだったが、過去の遺物をみているとついつい熱くなってしまう。

ロシア疑惑(11)ートランプ周辺の罪人たち

トランプの周囲にいる(いた)人間の罪が次々に暴かれている。

まず21日、2016年大統領選でトランプ選挙対策本部の本部長だったポール・マナフォートに有罪判決がだされた。昨年10月に起訴された時、マナフォートはウクライナ政府から違法な資金提供を受けていただけでなく、脱税なども含めて18もの罪状があった。

昨日、そのうちの8つで有罪になった。18の容疑すべてで有罪になると刑期は最長で305年とも言われていたが、半分ほどであっても死ぬまで出所できない可能性がある。

アメリカの司法の厳格さには頭がさがる。トランプが大統領として恩赦を与えることも考えられるが、裁判所が許すかどうかは微妙だ。

もう1人は今年5月までトランプの弁護士だったマイケル・コーエンである。実はコーエンが有罪になったことはマナフォートの収監よりも大きな意味合いがある。というのも、コーエンは10年間にわたってトランプ・オーガニゼーションの代理人をしており、トランプと影で違法行為をしてきた可能性があるからだ。

トランプと関係のあった2女性に口止め料を支払ったり、コーエン自身が法外な顧問料をトランプに請求し、受け取っていた。マナフォート同様、8つの罪で有罪になったが、法律を遵守すべき弁護士が罪をおかしたのである。

今後、トランプの頭痛のタネともいえるロシア疑惑で新たな事実が浮上してくることも考えられる。(敬称略)

 

cohen8.22.18

Photo from Youtube

トルコショックの最悪のシナリオ

金足農業の強さに世間の関心が集まっているが、トルコショックによる余波に注意しておかなくてはいけない。これから最悪のシナリオを迎えるかもしれない。

10日ほど前、トルコリラは対ドルで20%ほど急落し、その後は落ち着いていたが、リラの価値はその後も下落しており底が見えていない。円に対しても同じで、5年前1リラは50円前後だったが、20日夜には17円代にまで下落している。

いまさらトルコショックの発端は説明しないが、日本人投資家の中にはトルコリラをもたれている方も大勢いるので失った額は大きい。だが問題は今後、トルコの銀行が破綻してしまう可能性があることだ。

ヨーロッパの金融機関は多額の資金を融資しており、トルコの銀行が潰れればヨーロッパ経済も大きな打撃を受ける。そうなるとユーロの下落にもつながる。

2009年のギリシャ危機を思い出す。ギリシャは20日、ギリシャ危機から9年経ってようやくEUからの経済支援を脱したと発表したばかりだった。一難去ってまた一難である。

これ以上悪化しないとの見方もあるが、最悪のシナリオにも備えておかなくてはいけない。