奇策としてのノーベル平和賞

ノーベル平和賞をトランプと金正恩に授与するー。私が提案する奇策である。

ここで述べるまでもなく、すでにトランプと金正恩にノーベル賞をという話は出ているが、私が意図するのは将来を見据えた予防効果としての授与である。

どういうことかというと、1カ月もしないうちに米朝首脳会談が実現すれば、両国だけでなく周辺国が北朝鮮の非核化に向けて動きだすはずである。

前向きに捉えれば、東アジアの安全保障上、願ってもないことである。金正恩がいま手にしている核兵器をすべて廃棄する可能性はほとんどないと考えるが、使用させない・売却させないという点に限定すれば可能性がないことはない。

そこで米朝首脳会議が成功裏に終わり、平和協定が結ばれ、両国間に国交が樹立した時にノーベル平和賞をトランプと金正恩に授与するのである。

両首脳にノーベル平和賞受賞者ということを日々意識させることで、戦争という行為にクサビを打ち込むことができる。過激な軍事行動は自ずと自重するようになる。

トランプや金正恩のような人物は、特にノーベル賞の重さを意識するのではないか。妙案ではないだろうか。(敬称略)

文句のつけようがない

今朝、久しぶりにマウンドに上がった大谷翔平。テレビ中継を観たが、とにかく素晴らしいのヒトコトに尽きる。惚れ惚れしてしまう。

ジャーナリストとして「ホワイトハウスからホームレスまで」というのが私のカバーする領域だが、スポーツだけは観るだけである。

今朝の試合が終わってしばらくすると、エンジェルス対マリナーズ戦の記事がではじめた。シアトル・タイムズ紙でスポーツコラムを書いているラリー・ストーンも今日の試合、というより大谷を褒めている。

「バッターとして秀でているだけでなく、投手としても素晴らしい成績を残しており、可能と思えないことをしている。大リーグではバッターと投手の二刀流は無理と思われてきたが、その既成概念に挑戦している。大リーグのあり方を変えつつある」

これほどの賛辞はないくらいである。ちなみに英語で二刀流は「two-way player」。

日本ハムの清宮もそうだが、大谷はまだまだ伸びしろが大きく、球速も速くなりそうだし、バッターとしても成長していくだろう。張本の主張などに耳をかさず、静かに応援したい。(敬称略)

ルドンの変節

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Photo from Facebook

東京千代田区丸の内にある三菱一号館美術館で「ルドン展」を観た。

オディロン・ルドンは19世紀後半に活躍したフランス人の画家で、ナビ派を代表する描き手である。ルノアールと1歳しか違わないが、印象派と一線を画して対象を平坦的に、それでいて前衛的に捉えた。

三菱一号館美術館は過去、何度もナビ派のアーティストたちの展覧会を開いていて、できるだけ足を運ぶようにしている。以前にも書いたが、印象派の色鮮やかな油彩画で溢れかえっていると思っていた19世紀後半のフランスで、ルドンはモノクロの世界を追求して心の闇と人間の暗部を木炭画で表現した。

世界中の光を一身に集めたルノアールと対極に位置しているとさえいえる。心を病んでいたに違いないと思えるほどの重圧が絵から伝わってくる。それこそが人間の悩みであり、誰もが抱える鬱積であると感じられさえする。

しかしルドンは50歳を過ぎた頃から印象派に引き込まれていったかのような色彩豊かな油彩画やパステル画を手がけるようになる。代表作が下の「グランブーケ」である。ブルゴーニュ地方に建つ城の装飾画だ。

この絵だけを観ると印象派の画家が描いた作品に思える。それはまるで薄暗い地下のジャズバーで人間の悲哀を歌っていた歌手が、フルオーケストラで2000人の観客にむけてオペラを歌うようになったかのような変節なのだ。

それが人間の可能性と呼べるものなのか、意志を曲折させたとみるべきなのか、私にはわからない。

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Media appearance

明日の放送メディア出演予定:

 

・5月4日(金)7:00amから     東京FM(周波数80.0MHz)『クロノス

 

ゴールデンウィーク。多くの方が休みを取られているなか、私はいつものように仕事場へ。

ロシア疑惑(8)

北朝鮮問題に国際ニュースのスポットライトが当たっているので、トランプのロシア疑惑が忘れられている。だが特別検察官ロバート・ムラーの捜査はまだ終わっていない。

前回の「ロシア疑惑(7)4月10日」で、トランプは犯罪対象になっていないことを記した。しかし、ムラーはいまだにトランプに直接会って事情聴取する意向をもっている。

ということは、いまだにムラーは2016年選挙で、トランプ陣営がロシア政府と共謀していた可能性があると疑っているのだ。実際にムラーのチームは40ほどの質問をトランプにぶつけるつもりでいる。

トランプ本人はロシアと接触がなくとも、選対本部の人間が共謀していた可能性は捨てきれない。トランプがそれを知っているかどうかが焦点になる。

あとはトランプが前司法長官ジェームズ・コミーを解任したのは司法妨害にあたるかどうかも探る必要がある。

先週、トランプの弁護士チームに元ニューヨーク市長だったルドルフ・ジュリアーニが加わった。まだまだ一波乱も二波乱もありそうなロシア疑惑捜査である。(敬称略)