揺れ動く世界

早稲田大学オープンカレッジでの講義が始まった。受講生の方は本当に真剣なまなざしで、まるで私の眼を射るかのように見つめてくださり、気が引き締まる。

私は学者ではないので、ジャーナリストとして最新のニュースの分析、解説、そして展望を語るようにしている。先日は安倍・トランプの日米首脳会談とアメリカの銃規制の話をした。

首脳会談は戦いではないが、両首脳があいまみえて勝者と敗者が出るとしたら、今回は引き分けだったと思う。北朝鮮の非核化では見解が一致しているし、日本側の要望である拉致問題をトランプに飲ませることができた。

トランプはFTA(自由貿易協定)をもっと安倍に求めてくるかと思ったが、記者発表された内容を見る限り、投資・貿易の新しい枠組みを協議していくという流れに落ち着いた。これは言い換えればFTAの別バージョンで、日本は十分に警戒する必要がある。

21日朝になって朝鮮中央通信が、北朝鮮の核実験中止、ICBMの試射中止、さらに核実験施設も廃棄するというニュースを伝えた。東アジアだけでなく、世界的にも大きなニュースである。

ただ注意しなくてはいけないのは「いまもっている核兵器の破棄」を宣言していないことだ。CIAは北朝鮮が30~60個の核兵器を所有していると推測している。

金正恩は核兵器だけは手放さないだろうし、ウラン濃縮施設も破壊せずに存続させると考えられる。過去20数年、周辺国をだましつづけてきた国である。これからも核兵器を隠し持つと考える方が理にかなっている。(敬称略)

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