トランプのシリア攻撃は成功でも失敗でもない

ほぼ1年前、シリア政府は今回と同じように自国民に化学兵器を使って多数の死傷者をだした。それに対してトランプはオバマ政権の中東政策と決別する形で、巡航ミサイル(59発)を打ち込む命令をくだす。

2日前のシリア攻撃(105発)と状況が酷似する。英仏を巻き込んだところとミサイル数が違うだけで、シリア問題を解決できるわけではない。米国内の意見も賛否両論で割れている。

昨年も当欄で感想を記しており、同じオピニオンが使えるので昨年のものを転載する(2017年4月7日)。

 

「これまでずっとシリアには軍事介入しないと言ってきたトランプは、政策という点ではオバマと同じだった。しかしアサド政権が4日、化学兵器を使用したことで軍事攻撃にでた。オバマだったら静観しているところである。

印象としては、過半数の米市民がシリア攻撃に賛同しているので、36%まで落ちた支持率は回復するだろうし、フロリダで会談している習近平にも、「やる時はやる」という大統領としての威厳を示すことになった。

短期的にはプラス要因であり、北朝鮮への軍事行動もあると匂わせることで、習近平に北朝鮮にさらなる圧力を加えさせることになるはずだ。だが、長期的にはロシアとの敵対的な関係が長引き、泥沼化するシリア内戦によって政権の重荷になる点でマイナスであろう。(敬称略)」