トランプの壁でも不法移民を阻止できない理由

ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)が建設予定のメキシコ国境の壁に今、大きな疑念が生じている。

「不法移民を食い止めることはほとんどできない」という現場からの声が上がっているのだ。不法移民は壁を建設したところで、国境を越えてくるという。

約3100キロの国境のうち約1100キロには、すでにフェンスが施設されている。これから建設する予定の地域も含めて、フェンスや壁が有効な手だてにはならないというのだ(トランプの壁でも不法移民を阻止できない理由)。

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国境のフェンスはこうやって乗り越えます! Photo courtesy of U.S. Customs and Border Protection

本当に盗聴はあったのか

「(オバマ前政権の)司法長官がトランプ・タワーの盗聴を命令したはずです。司法省がやったのです。トランプの言っていることが正しいと思います」

ブッシュ元政権で司法長官だったマイケル・ミュケイジー氏は米ABCテレビに出演し、トランプを擁護してみせた。

トランプが3月4日にツイッターでつぶやいた内容が過去1週間、物議をかもしている。たて続けに4本もつぶやいた。最初がこれだ。

「ひどいものだ!オバマはトランプ・タワーの電話を盗聴していたんだ。しかも選挙で勝つ直前だ」(続きは・・・盗聴騒ぎ物議 オバマ前大統領はやっぱり命令していたのか)。

 

私の憧れ

これまで出会ってきた人の中で、感銘を受けた人が3人いる。その1人がスターバックス社長のハワード・シュルツである。

ちょうど20年前、西海岸ワシントン州シアトルにあるスタバ本社でインタビューした。いまでも当時を思い出すと胸が高鳴る。

本社はまるで美術館のようで、ありあまる空間の中で若い社員たちが眼を輝かせて仕事をしていた。彼の表情も活気に満ちていた。

私はフリーランスになって7年目。自由に仕事をしていたが、彼のためだけなら会社員に戻ってもいいとさえ思ったほどだ。

その時のインタビューで一番印象に残っているのは、「スターバックスという会社の寿命を20章だての本にしたら、まだ3章でしかない」と言ったことだった。

1997年当時、すでに大成功を収めていて店舗数は世界で6500を超えていた。にもかかわらず第3章目である。

実は今日、最新号の米『フォーチュン』誌を読んでいたら、シュルツの話がでていた。20章立ての本のたとえを再び口にしている。

驚いたのは「今はまだ4章目か5章目」と発言したことである。20年たっても1、2章しか進んでいないのだ。

現在、スタバは世界75カ国に進出し、店舗数も2万6000超まで増えた。にもかかわらず4章目か5章目、である。

実は、シュルツは100年思想という考え方をもっていて、自分は生きていないが、100年後にスタバはこうあってほしいとの実像が思い描けているのだ。

それに向かって着々と世界戦略は展開されているのである。当面の目標は2021年にマクドナルドの店舗数を抜くということだ。

先日、今年4月でCEOを辞めると発表したが、私にとってはずっと憧れのビジネスマンなのである。(敬称略)

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Howard Schultz: photo from Twitter

偽証罪にあたいするオバマの嘘

オバマ政権末期の昨年10月、オバマがトランプの自宅(トランプ・タワー)の電話盗聴を命じたと伝えられる問題が浮上している。

トランプは、盗聴を命じたオバマを「悪党か異常者」呼ばわりして糾弾している。一方、トランプの広報官は「オバマを含めた政権担当者が米市民への監視を命じたことは一切ない」と反論した。

だがオバマが国家安全保障局(NSA)に米市民だけでなく、世界中で盗聴をおこなうように指示していたことはエドワード・スノーデンのアメリカ政府の内情の暴露を待たなくとも、よく知られた事実である。

オバマは2009年の政権発足当初、盗聴を含むスパイ活動に懐疑的だったが、しだいに諜報活動の重要性を認めて盗聴活動を指示するようになる。

だから昨年10月、トランプの自宅を盗聴していたとしても何の驚きもない。

私は心情的には反トランプであり、トランプのこれまでの虚言や暴言に眉をひそめてきたが、今回の盗聴問題だけはトランプの言うとおりだろうと思っている。

任期を終えたオバマとしては、「しらばっくれる」つもりなのだろうが、トランプは徹底的に調査を命じるべきである。

場合によっては、前大統領が法廷にひっぱりだされることもある。(敬称略)