米国がこっそり戦争に突入、テロ拡散の危険大 オバマ

バラク・オバマ大統領は8月に入ってから、何事もなかったように、アフリカの一国で新しい戦争を始めた。

リビアであるー。

日米メディアは海外ニュースの1つとして「空爆をした」と報道してはいるが、トップニュースの扱いではない。リオ五輪や大統領選にメディアは関心を奪われ、リビア空爆というニュースは注目されていない。

オバマ大統領は国民に向けてリビアで戦争を開始したとの演説も行っていない。8月4日、国防総省(ペンタゴン)に出向いて記者会見を行った時も、シリアとイラクでのIS(イスラム国)の掃討が主な内容で、リビアという言葉は1回しか出さなかった(米国がこっそり戦争に突入、テロ拡散の危険大 オバマ)。

Obama8.31.16

Photo by the White House

トランプは自滅か

アメリカ大統領選をずっと追っているが、8月になって少し拍子抜けしている。

というのも、7月の党大会以後、トランプの劣勢がはっきりしているからだ。私はかなり早い段階からヒラリー有利とさまざまなメディアで述べてきた。ここにきて、トランプの勝てるチャンスは以前よりもさらに少なくなっているように見える。(どういう角度から予測してもヒラリー勝利)。

今朝の米ニュースでは、トランプはヒラリーのことを「bigot(頑固者)」と言って攻撃したが、何の足しにもならない。両者ともに1年以上も選挙戦を行っており、抽象的な言葉による攻撃ではもう誰も耳をかさない。

ヒラリーのメール問題はいまだに尾を引いているが、決定的なダメージにはいたっていないし、今後もならないだろう。ヒラリーへの攻撃はすでに出尽くした感がある。

だがトランプの汚点は少しずつ、新しいことが表面にでてきている。本選挙を2カ月半後に控えて選挙対策本部の人事異動をしたり、不法移民に対する言動が二転三転したり、負債総額が書類上の2倍にあたる約650億円だったりと、マイナス要因が多すぎる。

11月8日の本選挙は総得票数ではなく州ごとの戦いになる。州ごとに集計するということだ。現段階からどう計算してもヒラリーが負けないという答えが出てしまっている。

ここまで断言する人はあまりいないが、全米の州ごとの取り分け図は2008年のオバマ対マケインの戦いに極めて近い。州に割り当てられた選挙人というものを積み重ねていくのだが、総数が538。過半数の270を奪った候補が勝ちとなる。

08年選挙ではオバマが365、マケインは173でオバマの圧勝だった。今年もほぼ同じ州を奪ってヒラリーが勝つ可能性が高い。

9月からトランプとヒラリーによる討論会が3回予定されており、よく「討論会次第だ」という方がいる。だが過去30年も見てきて言えるのは、討論会後の支持率に大きな変化は生まれないということだ。

いまの段階までくると、有権者の9割以上はすでにどちらに票を入れるか決めている。討論会は単に確認の意味で観るだけに過ぎない。たぶん今日投票を行っても、2カ月半後に投票を行っても数字に大きな変化はない。

それがアメリカ大統領選の特徴でもある。

hillary8.26.16

Photo by Pinterest (若かりし頃のヒラリー)

 

ブルブルブルの正体

アメリカから日本にもどってそろそろ10年が経とうとしている。いまでも私が書く記事の8割以上が海外モノで、多くがアメリカがらみである。

いつも世界のニュースに目を這わせている。突発的なニュースが起きた時は、アメリカの報道機関2社から私のスマホに「号外メール」が入るようにしてある。ブルブルブルと1回だけ震える。

リオ五輪が開催されてから、ブルブルブルの回数が増えている。というのも、アメリカ選手が金メダルを獲ったり、世界記録が生まれた時に震えるからである。

ここまで(21日午前10時半)、アメリカは41個の金メダルを手にしているので41回、そして世界新記録が生まれた時の数回、ブルブルブルがきた。

「わかったから、もう止めて」というのが正直な感想である。

報道は近年、純粋な客観報道などありえないという風潮がつよい。偏っていて当たり前との考え方だ。アメリカのテレビでいえばフォックスは保守で、MSNBCはリベラル。政治的スタンスがわかっているから、視聴者も自分好みの局を選ぶ。

ただスポーツ報道については、どの国の報道機関も自国選手を応援する。当たり前と言えば当たり前で、自国選手を無視して他国選手にエールを送ったりしたら苦情の声が絶えないだろう。

この点で、スポーツだけでなく、対外的なことがからむと自国を擁護する報道姿勢がどの国でも鮮明である。だから最初からバイアスがかかっていない客観報道というものは極めて少ない。

リオ五輪もいよいよ閉幕。これでブルブルブルも少なくなる。

小売り冬の時代に突入、米国からモールが消える

1つの時代が終わりを告げたということなのか。

米大手百貨店「メイシーズ」は8月11日、今後1年ほどで米国内の100店舗を閉鎖すると発表した。メイシーズと言えば米百貨店の代名詞的な存在で、ニューヨーク市マンハッタンにある店舗は今でも全米最大の売り場面積を誇る。

160年近い歴史を持つメイシーズは、世界の百貨店に影響を与えてきたが、一度に100店舗も閉めるとのニュースに、消費者からは「メイシーズ」はもう終わりなのかとの声が出ている(小売り冬の時代に突入、米国からモールが消える)。

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Photo courtesy of Wikipedia

称賛の嵐

リオ五輪での日本人選手のメダルラッシュが続いている。

その中でも内村航平の「金」の演技は圧巻だった。国内メディアだけでなく、外国からも称賛の嵐がとまらない。なにしろ経済紙である英フィナンシャル・タイムズや米ウォールストリート・ジャーナルでさえ内村を褒めたたえたのだ。

フィナンシャル・タイムズは「力強さがありながらもバレエダンサーのような品格で、難度の高い技をこともなく演じていた」と書き、内村を「スーパーマン」と称した。

同紙は1976年モントリオール五輪で10点満点を何度も叩きだしたナディア・コマネチからコメントをとっている。

「信じがたいテクニックを身につけているので、史上最高の体操選手と言って差し支えない。普通、スローモーションで体操選手の動きを見ると、ミスや粗雑さが目立つが、スローモーションでさえ彼の演技は完璧」

英選手のナイル・ウィルソンは「日本人選手の完成度はいま、完全に別次元にある」とレベルの差を素直に認めている。ウォールストリート・ジャーナルは内村を「キング」と呼びさえした。

ただ個人総合の最後で、内村はウクライナのオレグ・ベルニャエフ(22)に0.901点の差をつけられていた。最後の鉄棒で、オレグが14.9点を出せば勝っていたが、点数は14.8点。誰もが、審判が内村に配慮したと疑った。会場からも「ブー」という声があがった。

けれどもオレグ自身が審判の偏りを一蹴してみせた。評点は正しかったというのだ。

もちろんオレグは勝ちたかったに違いない。けれども内村に対する敬意と存在の大きさゆえ、異をとなえるどころか内村こそが「金」にふさわしいという言動をとる。

「体操選手に弱者は1人としていません。ましてや、私たちは『伝説(内村)』と戦っているのです。世界でこれほどカッコイイことがあるでしょうか。彼と一緒に信じられないような演技を披露できたことが何よりの誇りです。しかも航平にプレッシャーをかけられたのです」

4年後の東京五輪では、最大のライバルになりそうである。