端麗な美

横浜の老舗ホテルで4月30日に行われた結婚式と披露宴ー。

2年ほど前にも結婚式の端麗さについて記した(人の記憶に残す)が、人の記憶に刻み込むという点で、結婚式ほど鮮烈に人のこころを打つものは少ないかもしれない。

しかも若いカップルが親族だけでなく、友人や知人たちと人生の昇華された瞬間を共有するのである。いくつものシーンが参列者のこころの襞に刻印されていく。私は数年たってもこの結婚式を鮮明に想起できるだろうと思う。

逆に言うと、日常のシーンというのは人のこころに残りにくい。結婚式前日のランチを思い出そうと思っても、すでに忘却の彼方に消えている。

結婚式を挙げないカップルも少なくないし、披露宴を挙行しなくても構わないが、人の記憶に残すという点で結婚式ほど意義深いものもないだろう。

お披露目をするということは、カップルとして新たに社会的責任を抱えることであり、人生の新しいチャプター(章)を開くことでもある。新しいチャプターに何を刻んでいくかは2人次第だが、今後の人生の気構えを公の場で示すという意味でも価値がある。

さらに今回思ったのは、結婚式に向き合う2人の真剣さが非日常的だということだ。結婚式は「カタチに過ぎない」という意見もあるが、大勢の前で人生への真剣さを示せる機会は多くない。こうした意味でも結婚式は挙げた方がいいと思う。

ただ、こうした感想を抱くのは私が年齢を積み重ねてきたからかもしれない。実は若いカップルを眺めたときに、純粋に微笑ましく、祝福したい気持ちを抱けるようになったのはそれほど遠い昔のことではないからだ。

人のこころには嫉妬や猜疑が宿る。特に同年代の未婚の男女であれば、友人や知人の結婚を素直に喜べない自分がいたりする。顔で笑いながら、こころには一抹の寂寥感や妬心が湧いたりする。

けれども今回出席した結婚式は、流麗であり端麗な美しさが光っていた。あらためて心から祝福したいと思う。

披露宴㈰

横浜のホテルニューグランドのチャペルにて