トランプ大統領?

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(photo courtesy of Hollywoodreporter.com)

米大統領選の予備選があと半月で始まる。

いちおう「ライフワーク」と公言しているので、最初の州であるアイオワ州党員集会へ取材に向かう。

共和党候補のドナルド・トランプは年が明けてもほとんどの州で支持率がトップである。ここまでの強さは、ほとんど誰も読めなかった。

私は昨年9月末まで、トランプは年内には失速すると予想していた。10月になって、「彼の強さは一過性のものではない」とわかったが、当初の見立てはハズレた。年末になってもトランプは勝てないと述べる専門家もいたが、そろそろ現実を直視すべきだろう。

組織に属さない身分なので予想が外れても左遷されることはないが、大統領選を追っている者としては恥ずかしい。

トランプが広範な支持を集める理由は前回のブログで書いた通りだ(誰にもとめられないトランプ)。いまでは共和党の代表候補の座を射止める可能性が高いと読む。

秋の選挙戦で民主党の代表候補を破って次期大統領になることも十分にあり得る。そうなるとアメリカだけでなく、世界にとっては米国関係に緊張が生まれ、場合によっては戦争に突き進み兼ねない。

アメリカの良識的な有権者がトランプだけは「危険な候補」と判断することだけを祈りたい。(敬称略)

訃報

ジャーナリストの竹田圭吾氏が亡くなった。

昨秋、ガンであることを公表したあとも、最後までメディアとかかわり、自身の思いを発信しつづけた人だった。映像で散見される本人の姿は痛々しいほどだったが、信念を貫きとおす気迫を感じた。

最後まで放送メディアに出つづけることに対する賛否両論はあるが、出ることこそが竹田氏の使命だったのだろうとの思いが強い。彼自身が一番、それを感じていたはずだ。

昨年9月7日、彼がパーソナリティを務めるFMラジオJ-WAVEの番組に呼んでいただいた時、初めてお会いした(J-WAVE:反体制候補の躍進)。すでに頬がこけていたが、冷徹な分析力はまったく衰えていなかった。

トランプについて語り合いながら、迎合という言葉とは無縁の人という印象を抱いた。

番組が終わったあと、「お体はだいじょうぶですか」と訊くと、「いい時と悪い時がありまして、、、」と言っただけで、それ以上は語らなかった。その時、すでに最期を予期していたのだろうと思う。

また1人稀有なジャーナリストが逝き、大変残念である。

裏側を少しだけ

別に新しいことではない。だがテレビの番組制作の現場をみる機会はそれほど多くない。

今月7日午前9時。テレビ朝日5階の大部屋には40~50人のスタッフがラフな出でたちで、それぞれのパソコンに向かい合っていた。

毎朝、午前10時半に始まる番組「ワイド!スクランブル」の制作スタッフだ。前日の一大ニュースである北朝鮮の水爆実験がその日のトップニュースである。

「半分くらいの人は徹夜です」と女性スタッフは言った。

私が番組に呼ばれたのは、2番目のコーナー「米大統領選候補トランプ」で話をするためだった。すでにスタッフや出演者は水爆実験についての打ち合わせを始めていた。

しばらくして「堀田さん、お願いします」と打ち合わせに参加するように促された。

チーフプロデューサーを筆頭にチーフディレクター、数人のディレクター、そして番組のMCである橋本大二郎、アナウンサーの大下容子、若い局アナ、レギュラー・コメンテーターの中野信子らが席についている。

「よろしくお願いします」と言って席につくと、すぐにチーフディレクターが司会役となってコーナーの進行を説明し始めた。台本にはすでに誰がどういう質問をするかが記されていた。

台本の「堀田:」というところに来た時、チーフディレクターが私にコメントを求めてきた。どういった内容の話を、どれだけ明瞭に、落ち着いて述べられるかが試されていた。少しばかり心拍数が上がる。

思っていることを少し長めに話した。全員が肯いている、、ように見えた。橋本と大下は下をむいて、ずっとノートを取っている。

そのあと橋本からいくつか質問がでたが、どれも的確なもので、問い詰められるようなものではなかった。その場にいた全員から柔和な暖かさも感じて、気が楽になる。

「スマステーション」でも司会をしている大下はテレビで観るよりも小さく、しかも白くみえた。何も語らず、ひたすら台本にメモをしている。

中野は私の右側に座っていたが、最初は誰だか気づかなかった。彼女が2度目の発言をした時にはじめて「脳科学者のあの人だ」とわかった。

番組の前後で少し話をしたが、たいへん人当たりの柔らかい人であることを知った。バラエティー番組で観て想像していた通りの柔軟さをもっているように思えた。

20分ほどで打ち合わせが終わると、私のコーナーが始まる11時15分まで控え室で待つことになる。

11時過ぎになって「堀田さん、化粧をしてください」と呼ばれるまで、下の写真の楽屋で、私はスマホを使って音楽を聴いていた。(敬称略)

 

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自己顕示欲というのもの

世の中には「注目されたくない」と思っている人が少なからずいる。逆に「注目されたい」と思っている人もいる。

この「注目されたい」という思いは、かなり多くの人の心に潜在的に宿っている。それは「人からの関心」とも言い換えられるが、まったく誰もみつめてくれないと人は輝きを失う。

ただ「みつめて欲しい」という気持ちが強すぎると、周囲からはけむったがれたりする。難しいものである。

私は自己顕示欲が人よりは強いかもしれない。こうしてブログを運営すること自体、「注目されたい」の証左でしかないからだ。

昨秋、文藝春秋から出た拙著『エイズ治療薬を発見した男 満屋裕明 (文春文庫)』が、本の雑誌社の『おすすめ文庫天国2016』のノンフィクション部門ベスト10の中に選ばれた。

こうして写真までつけて「見て下さい」といっている自分・・・ムムムである。

 

Bunko1.5.16

 

にわかに危険度の増す米ロ核戦争

米国とロシアによる偶発的な米ロ核戦争の可能性が捨てきれていない―。

昨年末、とんでもない言説が核兵器の米専門家から出された。米ロによる冷戦が終わってからすでに25年以上が経っている。それなのに、なぜいま両大国による核戦争というフレーズが使われるのか。

しかも「可能性はある」という聞き捨てならない表現である。言説は偏執的な軍事専門家から出されたものではなく、著名な米大学の研究者によるものである(にわかに危険度の増す米ロ核戦争)。

Putin-Obama1.2.16
Photo courtesy of Lobelog