猪熊弦一郎とネコ

四国、香川県丸亀市にきている。

丸亀駅から南側にのびる商店街はガランとしており、半数ほどの店舗はシャッターを降ろしている。昼間でも人通りが少なく、キャッチボールができるほどだ。

渋谷のセンター街の人混みを100とすると、丸亀駅商店街は5といったところか。

駅の隣に建つ猪熊弦一郎現代美術館に足を運んだ。いま「猫達」という特別展がひらかれている。

猪熊弦一郎と聞いて、すぐにピンとくる方は多くないかもしれない。20世紀に生きた洋画家(1902―1993)で、モチーフのひとつが猫だった。

1938年にフランスに渡ったときにマティスと出会って影響をうけている。55年からはニューヨークに拠点を移し、20年以上も過ごした。

48年から40年間、小説新潮の表紙絵を描く一方、百貨店三越の包装紙やショッピングバッグのデザインも手がけた多才なアーティストだった。

美術館はありあまるほどの空間が生かされて、猫の絵がずらりずらりと、これでもかと言わんばかりに展示されている。何百匹という猫たちをさまざまな手法で、新しく、そして普遍的に描いた。

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