男女5人、冬物語

先日、幼なじみの男女5人で晩御飯を食べた。内訳は男子2人と女子3人である。

5人とも57歳なので、男性と女性と書くほうがふさわしいが、幼稚園の時から知っている人もいるので男子と女子の方がしっくりくる。5人は同じ小学校と中学校に通った。

ただ過去50年ほど、ずっと仲がよかったわけではない。別に喧嘩をしていたわけでもないが、クラス会や同窓会といった機会をのぞいて、5人がどうしても会わなければいけない理由はなかった。

学校を卒業してしまうと、仲のよかった友達でさえも疎遠になることが多いし、ましてや同じ学年にいた旧友という理由だけで晩御飯を食べようという話にはなかなかならない。

私ともう1人の男子が時々ご飯をたべていることもあり、「小・中学校で同じ学年だった女子を誘って新年会をしよう」という流れになって実現させたのだ。

5人が20代や30代、しかも結婚前であれば下ごごろがあるかもしれないとの警戒心が、特に女子の心中に宿ったかもしれない。

だが全員が既婚者である。結婚していても、、、との邪念もあろうが、少なくとも5人にはない。孫のいる人もいる。

5人に共通するのは、いまの生活に互いの利害がまったく関与していないということだ。仕事もお金もからまない。

仕事仲間とか趣味の集まりで一緒ということでもない。生活がからみ合わないのだ。それであるのに話は5時間も6時間もつづく。しかも昔話をしているだけではない。

スイートスポットと呼べるような居心地のいい空間は、小・中学校時代に無意識のうちに共有した同じ住環境や教育環境に拠るところが大きいように思う。たぶん、それは多くの方が幼なじみと顔を合わせたときに体感する情感である。

9年間も同じ学校で、同じ授業を受けてきた残影がそこかしこに浮遊しているようだった。

あの時代に戻れるのであれば、学ランを着てみてもいいと一瞬だけ思った。ただ、本当に一瞬である。