原油価格の下落が止まらない。

2014年6月にニューヨーク原油市場の先物価格は107ドルまで上昇したが、12月29日には52ドル台まで落ちた。半年で50%以上の下落である。

米エネルギー業界では2015年になっても下落が続くことを予想して、最悪のシナリオが描かれているという。「米経済への大きな打撃」になるという見方が強い。現実になれば日本経済への悪影響も避けられない(米国を潰せ!サウジが仕かけたエネルギー戦争)。

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小保方は詐欺師か

今月22日のブログ(STAP細胞からの反論 )で、日本中がSTAP細胞へ不信感を強めているなか、私は反論を書いた。

ところが26日になって、理化学研究所の調査委員会がSTAP細胞とES細胞の遺伝子を詳細に解析した結果、両者がほぼ一致することを科学的に立証したと発表した。

この発表は私のSTAP細胞への最後の望みが絶たれたことを意味する。個人的に小保方に思い入れがあったわけではない。単に、STAP細胞という科学的な発見そのものに期待していたからに他ならない。

しかし、よりにもよってSTAP細胞とES細胞が同じだったという、あってはならない結果にたどり着いた。何ということだろうか。

両者が同じかもしれないという疑いは今春からあった。だが4月の記者会見で、小保方はこう明言していた。

「研究室ではES細胞の培養を一切行っていません。なのでES細胞の混入ということは起こりえません」

ここまではっきりとウソを口にできる研究者がいるだろうか。

STAP細胞を研究している研究室でも、液体窒素の保存庫の中にマイナス190度で固まったES細胞が保管されていても不思議ではない。だがES細胞の培養は一切行っていないと世間に向けて発言できる神経は、ある意味で小保方が稀代の詐欺師ということを証明したことになりはしないか。

高校時代から妄想癖があったとの報道もあるが真偽はわからない。けれども、STAP騒動での小保方の醜行は歴史に名を残すほどの負の重さがある。

科学界だけでなくメディアも振り回された1年だったという点で、2014年は思い出に残りそうだ。

クリスマスというバースデー

今でもはっきりと耳に残っているフレーズがある。

「私はクリスチャンではありませんのでクリスマスは祝いません」

大学4年時、K女史は受話器の向こうで明言した。数人の友人たちとクリスマスパーティをしている時に、K女史も呼ぼうということになり、私が店のピンク電話から彼女のアパートに電話をかけたのだ。

「にわかクリスチャンになって楽しんでいます」と言ってみたが、彼女は来なかった。

本当にパーティに来てもらいたければ事前に誘うのが当たり前で、「途中からノコノコいけませんよ」というのが彼女の本音だったかもしれない。ましてや、女性が身支度を整えて外出するには時間がかかる。

だから「クリスチャンではありません、、、」というのは、彼女なりの断りの理由だったとも思える。

日本人でもクリスチャンの方はいるし、本当にイエス・キリストの生誕を祝うことを目的にしたイベントもある。だが、私にとってクリスマスは実に複雑な思いが交錯する日である。

人からなんと思われようとも「クリスチャンではありません、、、」と突っぱねて、パーティにも行かず、ケーキもたべずと、クリスマスらしいことを拒否しつづけることもできるが、周囲を取りまく環境を考慮すると「なにもそこまで否定しなくてもいいのでは?」との思いが皮膚感覚で感じられる。

クリスマス商戦に乗った似非のクリスマス文化に巻き込まれたくないとの思いがある一方で、ツリーを飾り、チキン(アメリカでは七面鳥)を食べてプレゼントを買うという行為もしている。だから、「歓喜のエネルギー」というものが体内にあったとしたら、私は100%のうち60%くらいしかクリスマスを楽しんでいない。

先日、スイス人記者のクリスマス・パーティに招かれた。皆が口にするように、私も便宜的に「メリー・クリスマス!」と言ったが、この言葉に心がこもっていないことは自分自身が一番知っていた。それでもスイスのクリスマス料理を口し、ホットワインを飲んで、それなりに楽しんでいる。

ただ釈然としない。毎年クリスマスがくると、いくつもの思いが紛然としたまま浮遊し、うしろにも前にもいかない自分がいるというのが正直な思いだ。

ただクリスマスは飼い猫の誕生日でもあるため「ハッピーバースデー」に力を入れることにしている。

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STAP細胞からの反論

「やはりダメでした」という発表が先週金曜(19日)、理化学研究所によって行われた。

世界中を巻き込んだSTAP細胞の有無をめぐる議論は、「ありませんでした」という結論で落ち着いた。数ヵ月におよんだ検証実験でも、STAP細胞を確認できていない。

ただ私はここで「STAP細胞からの反論」を展開したいと思う。

STAP細胞からの「オーイ、俺を消さないでくれ!」という声が聴こえてきそうだからである。ふざけているわけではない。真剣である。

反論の唯一のよりどころをこれから記したい。

以前にも 書いたが(STAP細胞のゆくえ )、4月の記者会見で小保方は「現象論を示しており、最適条件を示したわけではない」と言った。さらに「コツやレシピーのようなもの」があるとも説明した。

生きた細胞を使った実験において、研究者が作りだす特異的な実験環境は極めて重要であり、特定の条件下でだけ実験が成功することが少なくないからだ。

たとえば、取材で次のような例に出会っている。エイズの研究者である満屋裕明が最初にウイルスに効果のある薬を発見したとき、満屋がつかった細胞は人間の血液(ヘルパーTリンパ球)だったが、誰の血液でもよかったわけではない。

同僚の医師たちから実験用の血液を注射器でとっているうちに、日本人医師Yの血液でないと実験がうまくいかないことがわかったのだ。Yの血液は試験管内でよく増殖し、エイズウイルスに出会うとすぐに死ぬという 特質があった。論文では、その血液を単に「YTA1」としか書いていない。

「Y先生の血液でないとだめだったんです」

満屋は後年、そう語っている。

そのため、他の研究者が追試をしようとしても同じ結果が得られるとは限らない。生きた細胞を使う実験では、こうしたことがよくあるのだ。私は4月の時点で、小保方は自分だけのコツをつかんでいると踏んでいた。

しかし今回の検証実験では、9月から11月末まで45回以上も実験を行ったがSTAP細胞をつくりだせなかった。

もし本当に小保方が以前、200回以上も実験に成功していたとしたら、何がいけなかったのか、何が足りなかったのはを熟知しているはずで、それを踏まえて再度チャレンジしてほしいと思う。

画像捏造や改ざんが発覚した時点で、研究者としての信頼は失墜していたが、STAP細胞だけは本当に見つけたのかもしれないとの思いは春先から今にいたるまで消えていない。しかも論文の共同執筆者の1人である理研の丹羽仁史は以前、「少なくとも(STAP細胞を)3回は見た」と語っていた。

このまま「ウソツキ晴子」で終わってしまうのか、それとも「STAP細胞はあります!」と科学界に再度胸を張れるのか、私はまだ最終章の幕は下りていないと思っている。(敬称略)

「僕も聞きたいね!」

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大リーグのヤンキースで活躍した松井秀喜が17日午後3時、日本外国特派員協会の会見に現れた。

来年3月に行われるチャリティー野球の広報としての役割でメディアのスポットライトを浴びたのだ。記者を含めて200人以上が詰めかけ、テレビカメラも10台以上が正面から松井を狙う。ジャイアンツ監督の原も横に座っている。

会見内容はチャリティーに限定されていたため、松井はそれ以外の質問には答えようとしない。これまで多くの質問を受けてきている経験から、巧みに質問をかわす術を会得している。

しかし訊かないわけにはいかない。私は手を挙げた。

「ジャイアンツから監督の要請があったら、原監督のあと、引き受けますか」

「困りましたね、、、」。松井はいい顔をしなかった。

すると原が言い放つ。

「僕も聞きたいね!」

拍手と笑いがおきた。だが松井は乗ってこない。

少しうつむきながら、「違うところ(機会)で話をした方がいいですね」と静かに言った。

その言葉で松井という人間の実直さがわかった気がした。それ以上は誰も突っ込まず、少しばかり白けた空気が漂う。

自らが笑いを作り、周囲を哄笑の渦のなかに巻き込むことはないが、この人ならば間違ったこともしないという思いがある。それが彼のよさなのかもしれない。(敬称略)