7キロ以上はあるね、、に涙

さわやかな青空が広がっていた。朝から清々しい天気である。

午後から仕事をする予定だったので、午前中に1時間ほど汗を流そうと思っていた。久しくサイクリングをしていなかったので、自転車に乗って荒川の土手を走ることにした。

さっそうと(自分だけそう思っている)こぎ出す。しばらくして荒川に着くと、大勢の人たちがペダルを漕いでいる。

下流に行くか、上流に向かうか。

どちらかに進んで、折り返してくるつもりだった。まず上流に30分ほど走ることにした。

普通に漕いでいるつもりだったが、ドンドン抜かされる。ユニフォームを着た軍団も走っていて、ちょっと怖い。

舗装されたトレイルの横には野球用のグラウンドがたくさん整備されていて、少年野球の試合がいくつも進行している。女子が男子に混ざってプレーしているチームもある。

30分ほど走ってから引き返す。だが同じ時間を戻っても、最初に到着した土手の場所がわからない。周りの風景は似ていた。

誤算があった。引き返したあと、野球の試合を数カ所で観てしまったのだ。どれほど時間を費やしたかはわからない。

引き返してから45分ほど経っても最初に到着した場所は現れない。どんどん下流の方へ走った、、、走ってしまった。

気づくと、引き返してから1時間も走っている。「東京湾に出てしまう」と思った。土手を上がって町にでると、まったく知らない風景が広がっている。

太ももの筋肉は重くなってくるし、お腹は減るし、サドルがあたる臀部は痛くなるし、そのあたりに自転車を放置してタクシーで帰りたかった。

停車中のタクシーの運転手さんに自宅までの帰り道を訊くと親切に教えてくれたが、最後に「7キロ以上はあるね」との言葉に、涙がでそうになった。

その日は結局、30キロ以上を走破する苦行になってしまった。老体にムチを打っても老体のまま、、哀れ。