想像の外側

毎日、いろいろなことが起きる。ただ想像を絶するようなことは極めて少ない。

人間が生をうけた時から死を迎えるまで、人の営みというのは大方が想像の枠のなかに入る。たとえば結婚を1度もしたことのない人であっても、結婚生活に思いを馳せれば、その営みは十分に想像の範疇の内側にくる。

もちろんカップルによって接し方や習慣が違うが、想像の外側にくるようなことは稀だ。

ただ今回の兵庫県神戸市長田区で起きた小1女児殺人事件は、容疑者君野の精神性という点で、なかなか理解できない。障害があったとの報道があるが、それでも殺害後に遺体をバラバラにするという行為は簡単に咀嚼できない。

今月初旬、アメリカのオハイオ州でもバラバラ殺人事件があった。世界のニュースに眼を這わせていると、バラバラ殺人事件は少なくない。

オハイオ州の事件は犯人の男が元恋人を殺害後、遺体を切断して心臓や肺、脳を食べている。カニバリズム(人肉嗜食)は日本では珍しいが、実はバラバラ殺人の時にはよくあることで、世界では年に数回ほどはあるかと思う。

犯人たちが「精神を病んでいる」という言葉で片付けてしまうことは簡単だが、問題はそれほど単純ではない。行為そのものよりも、犯人たちの内に秘めた闇を理解しようとしても、いまの私にとっては想像の外側にあることなので手がとどかない。

仮に長時間のインタビューをしたとしても理解できるかどうか、わからない。女児のご両親の胸中を察するとなおさらに釈然としないものが残る。