記者会見の冒頭で、「死にそうなんです」とおどけてみせた。
大病をわずらって体重を落としたことは誰の眼にもあきらかだ。でもすぐにこう言った。
「まだ死なないんですけどね」
声には張りがある。
「世界のオザワ」と言われ続けて何年になるのだろうか。指揮者小澤征爾(78)は間違いなくまだまだ現役でいるつもりだ。
1992年にはじまった「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」という音楽祭を、来年から「セイジ・オザワ松本フェスティバル」という名称に変える。日本外国特派員協会の会見に集まった200人超に対し、これからもトップでいつづけるという印象を与えた。
「音楽ってね、昔から一番早く人に伝わるでしょう。文学は読んで理解しないといけないけど、音楽は耳から直接入るから。これからも音楽を大事にしなくてはいけない」
髪をかき上げながらはにかむ姿は、いまだに少年のようでもあった。(敬称略)