新作映画『凶悪』

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試写会に招かれて、日活の最新映画『凶悪』を観てきた。

ヤクザ映画で、しかも死刑判決をうけた凶悪犯の告発という暗い内容から、当初は試写会に足を運ぶのを躊躇していた。

しかし最初のシーンから最後まで、眼を見開いてスクリーンの隅々にまで注意を払わないといけない、いやそうしていたい映画であった。一コマ一コマが丹念に撮られている。それが1つの物語としての完成度を高めていた。

全編にわたってヤクザとその首謀者による凶悪な殺人が描かれるが、それが日本社会の暗部をえぐり出している。「新潮45」に発表されたノンフィクションを元にした事件映画で、刺青の入ったヤクザを演じるのがピエール瀧、首謀者をリリー・フランキー、そして雑誌記者を山田孝之が好演している。

これまで、当ブログは特定の組織・団体、個人からの金銭的・思想的な利害から解放されてきており、思うままに諸事を書き連ねてきたし、今後もそのスタンスは変わらない。

だから人に「これについて書いてください」と言われると、逆に書かないことが多い。映画やレストランの寸評だけではない。自身が納得して初めて記すことが大切だろうと思う。何か偉そうだが、たぶんこうしたことが最も重視されるべきことだと考えている。

日活の広報にいるO氏は、私には何もプッシュしてこない。それがまたいい。『凶悪』は最近の邦画としては出色の出来である。9月21日公開。