ケネディ家の威光

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by the White House in 2011

アメリカの次期駐日大使に故ジョン・F・ケネディの娘、キャロライン・ケネディが任命される公算が高い。

オバマ政権がなぜケネディを大使に任命するかの真意は、オバマと政権内部の人間にしかわからないが、私は疑問符をつけざるを得ない。

アメリカ政府が同盟国をはじめとする大国に、政治家や外交官でない民間人の大使を送ることは少なくない。およそ3割が民間大使である。そこに異論はない。

これまでの大使も日本語の話せる人はほとんどいなかったし、来日前に日本を取りまく周辺事情に精通していた人も少なかった。楽観的な見方をすれば、大使に任命されてから「お勉強」をすれば、いちおうは務まるということである。弁護士だったルース大使もそうだった。

だた引っかかることが2つある。1つはなぜ彼女が選ばれたのかということ。そして大使としての重責をこなせるだけの資質を持っているかという点だ。

調べると、ケネディは昨年のオバマ再選時、35人からなる再選委員会の共同委員長の1人だった。そして個人献金の上限にちかい2250ドル(約21万円)を寄付している。

いわゆる論功行賞で、「お疲れさま」的な意味合いがある。さらに同盟国の日本には名の通った大物がふさわしいという考え方である。

別に日本に1度も行ったことがなくとも関係がない。重要な政治決断はワシントンでなされるし、日本通のスタッフが周囲を固めるので、大きな問題はないと捉えてはいないか。

前大統領のブッシュが2000年に当選をはたしたあと、テキサス州の友人で億万長者のマーサ・レイノルズをスイス大使に抜擢したのに近い。

ただ大使という職は両国にかかる橋の基幹部分を担う。時には外交の主要プレーヤーであることは疑いようのない事実である。彼女に大使としての交渉術や説得力がそなわっているのか。

多くの人に好かれ、名前が売れているだけではいけない。緊迫する北朝鮮状勢で、周辺諸国の元首と忌憚ない意見を交換できるのか。

「私には無理でした」という事態にならなければいいのだが。(敬称略)