アイオワ州党員集会:意外に順当

アメリカ大統領選挙の予備選の筆頭として3日、アイオワ州で党員集会(コーカス)が行われた。

相変わらず日本のメディアは、誰が勝ったかを伝えるだけで、ニュースの受け手側は周辺の事情がまったくと言っていいほどつかめない。テレビニュースではせいぜい1分。新聞も100行程度の原稿なので無理もないが、もう少しわかりやすく伝えてほしい。

4日朝、ラジオ出演して5分ほど話をしたが、それでも私が伝えたいことの10分の1ほどでしかない。ニュース報道の限界を感じるが、インターネットでは無制限勝負なので、こうした場で少しでも多くのことを伝えられればと思う。

予備選にはコーカスとプライマリーの2種類がある。州ごとに投票システムが違う。たとえばアイオワ州のコーカスは州内でもシステムが違い、公開投票だったり記名式投票だったする。ただ大勢が公民館などに集まって挙手で決めていくのがコーカスだと思って頂ければいい。

一方のプライマリーは日本の投票と同じような記名式だ。いまだに紙の投票用紙のところもあるし、コンピューターのモニターを使う地域もある。有権者1人1人がブースに入って投票する。

アイオワ州から始まった予備選は、州ごとに順次行われ、6月26日のユタ州で終わる。それまでに共和党の代表候補になるために必要な代議員(州ごとに割り振られている:この点は後日述べる)を蓄積していく。

今年の共和党レースは、昨春からほぼ1ヵ月ごとに支持率トップの候補が入れ替わってきた。過去10日ほどは元上院議員のリック・サントラムが上昇気流に乗っている。

アイオワでは前マサチューセッツ州知事のミット・ロムニーとほぼ互角の得票数で、現在もっとも注目されている候補だ。だが今月10日に行われるニューハンプシャー州のプライマリーではほぼ間違いなくロムニーが勝つはずだ。

アイオワでサントラムが健闘したのは、過去半年どの候補よりもアイオワに足を運んですべての郡を訪れたからである。費やした日数は200日を超える。一方のロムニーは12月21日までに14日間しか同州に来ていなかった。サントラムが善戦して当たり前である。

むしろ4年前の選挙で、ロムニーはアイオワに全力を注いだが大敗しており、今回はほとんど「ラッキー!」といった印象である。そうした意味で、ロムニーは順当な滑り出しと言っていい。(敬称略)