テレビ効果

つまらない選挙になった―。

アメリカ大統領選である。共和党レースは昨年末まで、1カ月ごとに首位が入れ替わる混戦で、今年も同じような展開になるのかと思っていた。だが予備選が始まると、前マサチューセッツ州知事ミット・ロムニーの一人勝ち状態で、11月の本選挙ではオバマ対ロムニーの戦いになりそうな状勢である。

このブログでは大胆に予測を述べてきているので、ここでも2人の戦いになるだろうと記す。すでに昨年7月、(オバマ対ロムニー )で2人の戦いになると予測し、大枠はなにも変わっていない。

ただ、なぜ昨年夏から1カ月ごとにトップが入れ替わったのか。これまでの大統領選では見られなかったことである。私の分析は、昨年だけで13回も行われたテレビ討論会にその答えがある。

これまでの大統領選で、ここまでテレビ討論会を頻繁に行ったことはなかった。視聴者はテレビ画面に映し出される候補の一挙手一投足に心が揺れる。それが支持率の変動につながったと考えられる。

たとえば元下院議長のニュート・ギングリッチの支持率が急浮上したのは昨年11月中旬で、12月13日をピークに急降下する。11月9日、12日、22日の3回の討論会でギングリッチはキレのある討論を行った。それと連動するように支持率は一時35%に達する。もちろんロムニーを超した。

だがアメリカ人が彼の90年代の悪行を忘れたわけでなかった。ライバル候補によるネガティブキャンペーンの激しさもあり、大統領としてふさわしい男ではないとの判断が広がる。

私の判断では、彼の選挙はもう終わっている。前駐中大使のジョン・ハンツマンも撤退を決めた。最初から希望のある候補ではなかった。

共和党保守派はロムニーを代表候補にさせまいと、前上院議員のリック・サントラム支持で1本化する動きをみせる。しかし他に適任の候補がいないからという理由でサントラムを推す消極的な行動では、先行きが暗い。(敬称略)

by the White House