オバマ、再選に向けて加速

28日早朝、メールをチェックするとホワイトハウスからある知らせが届いていた。

オバマがホワイトハウスで市民との対話を行うという内容だ。いわゆるタウンホール・ミーティングである。これまでも何人もの大統領がこのスタイルで市民との対話をしてきたが、ホワイトハウス内で行うのは初めてだという。

ただホワイトハウスに市民を招くのではなく、インターネットで質問を受けてそれに答えていく。24日の一般教書演説後、再選活動にさらなるエネルギーを傾けはじめた証拠である。

日本のメディアの中には「本格的な再選活動を始めた」といった表現が見られるが、当たっていない。昨年からすでに活発に行っていて、今週オバマが行った遊説先の5州のうち、たとえばコロラド州は過去4ヵ月で3回目である。再選活動を加速したといったところだ。

私はホワイトハウスから定期的にメールを受けとるが、別に私が特別な扱いを受けているわけではなく、単に名前が登録されているからに過ぎない。What do you want to ask me? (敬称略)

FOXニュース効果

元下院議長ニュート・ギングリッチは予備選の最初の2州で負けながら、3つ目のサウス・カロライナ州で勝った。

予備選前に行われたテレビ討論会で、有権者を味方につける攻撃的な語り口で一気に支持者を拡大させたのだ。ほとんどテレビ討論会のトークだけである。

前回の大統領選コラムでも書いたように(テレビ効果)、ギングリッチはトークだけは共和党で残った4候補の中ではもっとも長けている。それが見事に支持率に表れている。

昨年11月中旬から12月13日までのほぼ1ヵ月間だけ支持率が急上昇し、のちに急落。そして再びテレビ効果で急浮上した。しかもどの候補よりも保守系テーブル・ニュース局のFOXニュースからのインタビューを受け、思いのたけを述べている。昨年12月1日までだけでも52回も登場した。

何度も書くが、ギングリッチは倫理的にも政治的にも、また人間としてももっとも大統領にふさわしくない候補だと思っている。

別に個人的に恨みがあるわけではない。80年代から99年に下院議長を辞めさせられるまで、首都ワシントンで彼の言動を見てきているので「彼だけは選んではいけない」との思いがあるだけだ。アメリカの有権者はいったい何を見ているのだろうか。

選挙がはじまって間もない昨年6月、突然妻と2人でギリシャからトルコまでのクルーズ船の旅に出て、あとはスタッフにお任せしますという行状である。愛想をつかした選挙スタッフが多数辞めた。

ギングリッチのトークになびいているのは特定州の有権者だけであることを祈るのみである。これはアメリカのためでもある。(敬称略)

ウォルマートの中国制圧戦略

今さらここで世界最大の小売業者ウォルマートのビジネスについて記す必要はないかもしれない。だが世界最大の売上を誇るということは、それに見合った経営戦略を実践していることに他ならない。

創業者サム・ウォルトン氏の経営哲学は何冊もの書籍で紹介されているが、今ウォルマートが目指すものを記すことは、それ自体将来を展望することになる。

株価総額ではアップルやエクソン・モービルに及ばないが、売上は2011年度4321億ドル(約32兆円)に達した。それよりも驚愕するのは世界での従業員数が約210万人で、世界の大都市並みであることだ。

日本一の企業と言われるトヨタでさえ連結企業を合わせて32万人である。いかに企業規模が大きいかがわかる。

このコラムで光を当てたいのはウォルマートの中国戦略である。ウォルマートが62年に南部アーカンソー州で起ち上げられてから、初めて国外市場に進出するまでほぼ30年の歳月がたっている、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。