法律がビジネスを潰す

「失業率が高いと言っても、汚い仕事はいくらでもありますよ」

アメリカの首都ワシントンにいる知人が電話口の向こうで言った。

10月のアメリカの失業率は依然として9.0%で高止まりしたままだが、選り好みをしなければ仕事はあるという。失業率や貿易統計といった経済指標はある意味で、数字のトリックであり、アメリカ経済の実態を正確に表しているわけではない。

それは何もアメリカに限らない。日本でも同じである。市民生活の実情が数字で表されることの方がむしろ稀である。それでは選り好みをしなければ、今のアメリカにはどんな仕事があるのか。

今年に入り、アメリカのいくつかの州で厳格な移民法が改正された。過去30年以上、移民法は連邦法と州法の両方で、さまざまな改正が加えられている。流れとしては緩和ではなく強化であり、9.11以降は加速度的に不法移民排除の力が増した。

9月29日、ある移民法が南部アラバマ州で施行された。それは「これまでのどの移民法よりも厳しい」という前評判通り、特に中南米からの不法移民を徹底して締め出す内容が盛り込まれていた、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

新たな旅

これまでもこのブログで旅について書いてきた。「世界の街角から」という写真の不定期連載も続けている。

世界中のさまざまな土地にいく機会も少なくないが、友人のK氏としばらく前から都内の「居酒屋の旅」というぶらり旅を続けている。

東京に住んでいても、用事がなければ行かない場所は多い。新しい町のレストランや飲み屋に行くことはあっても、それは人から聞いたりインターネットで調べたあとでの行動である。

月に1度、どちらかと言えば小さめの駅に2人で降り立つ。それまでまったく行ったことのない駅は、たとえ東京であっても新鮮である。行き来する人さえフレッシュに見えることがある。

事前のリサーチはわざとしない。その日その場で決めていく。

日本テレビで土曜朝に放映している「ぶらり途中下車の旅」は、カメラを回す何日も前にロケハンをし、用意周到な準備をする。番組制作なので当然である。だが、われわれのは本当のブラリである。

JRにしろ私鉄にしろ、駅周辺に飲み屋がないということはほとんどない。いつもは3軒ハシゴして帰宅する。その日は午前様である。

積極的に知らない駅に降りて、予約なしで居酒屋に入る。それは新たな旅といえる。

今月は京浜急行電鉄の青物横丁という駅だった。住所は東京都品川区南品川。駅前の通りは、ジュネーブ平和通りという名前がついている。品川区がジュネーブと友好都市提携を結んでいるからだという。もちろん知らなかった。

すべて初めての飲み屋である。中にはすりガラスで外から店内が見えない飲み屋もある。そんな時はジャンケンをして負けた方がドアをあける。

引き戸をあけて「アッ、失礼しました」と締めてくることもある。今月も1軒あった。

3軒目に入った「えいちゃん」という店は渋かった。夫婦二人で切り盛りしている。モツ鍋もあれば、おでんもある。「焼きそば!」と言えば作ってくれる。それでも再度その店に行くことは、たぶん、ないだろう。

それが新鮮である。そして思うのである。人生は旅、、、、、であると。

アップル社の前CEOスティーブ・ジョブズ氏が他界したあと、同社の斬新性と優位性が世界中で語られているが、実はアメリカのIT業界には賛否両論が渦巻いている。 

10月3日に本コラムで述べた通り、アップル製品はデザイン業界からの評判がよくない。というのもアメリカ企業は、ことデザインという点では世界でも遅れを取っているとの認識が大勢を占めている。

アップル製品であってもそうである。すでに「ディズニー化」が進んでいるとの意見が出され、誰しもが好む領域に入り込んでいると揶揄されている。最先端を歩くことがいかに大変であるかがわかる。そこには嫉妬も混在しているかに思えるが、こうした批判が新たな進化を生み出すエネルギーにもなる。

アップルのデザイン開発については、ドキュメンタリー映画『オブジェクティファイド(対象化)』にその一部が描かれている(日本未公開)。そこに登場するデザイナー、ジョニー・アイブ氏がこう述べている、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。