東京電力役員は刑事罰がふさわしいか

福島第一原発の放射能汚染問題で、東京電力役員を刑事告訴する機運が一部にある。震災から日が経つにつれて、さまざまな事実が表面化することで、東電が訴訟の対象になる可能性は捨てきれない。

今回のコラムで問題にしたいのは、このような大事故に直面したアメリカ企業はどういった対応をするのかということだ。さらに企業だけでなく、社員が刑事罰に問われる可能性も探っていきたい。

企業訴訟は数限りないが、2001年に破綻したエネルギー大手エンロンの場合、大規模な不正会計が明らかになったと当時に、ケネス・レイ元会長兼最高経営責任者(CEO)が粉飾決算に手を染めていたことで、CEOの有罪判決が当初から見込まれた。

レイ氏は02年に起訴され、06年に有罪判決がでたが同年、心臓発作で他界した。エンロンの事例では、企業の責任と個人の関与が明らかだったことから刑事罰は自然な成り行きだった。

しかし事故の場合はどうか。東電の放射能漏れは大地震と津波が起因しているが、事後処理の拙劣さによる放射性物質の拡散はもはや否定できない。東電社員の刑事罰の可能性も考えられなくない。対象になるのは社長や会長、また福島第一原発の事務所長などである。

福島の事故と比較できる最近のアメリカの事例は、昨年4月に起きたBPによるメキシコ湾原油流出事故だろう。原油掘削施設の爆破で11人が死亡したと同時に、7月中旬までに原油490万バレルが流出し、湾岸諸州に大規模な被害をもたらした。環境汚染という点でも東電の事故と類似性がある、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。