失墜するのか、ジャパン

テレビや新聞は今起きていることに関心を向ける。メディアの性格上いたしかたない。それだけに見逃されている重大な危機がある。

その一つが日本の国債のデフォルト(債務不履行)へのカウントダウンである。

私が指摘しなくとも、すでに内外の経済学者やエコノミストが口にしている。けれども一般国民や日々の諸事を追っているメディアの多くがその危機を実感していない。

これは日本が第二のギリシャになりかねないということであり、自分の銀行預金からキャッシュを引き出せなくなるという危機である。私の周囲にいる東京の外国人特派員や諸外国の財務担当者は本当に危惧していて、「日本から逃げた方がいいな」という冗談ともいえない話を真剣に交わしている。

今月も、FT(フィナンシャル・タイムズ)のヘニー・センダーが「日本はバブルから20年、最悪の金融事態を迎えるか?」というコラムを書いた。内容は格段に新しい事実を述べているものではない。このまま日本が財政赤字を放置したら、本当に大変なことになるということを淡々と語っているだけだ。

国の借金はすでにGDPの200%に達しようとしている。一般会計予算(2010年度)92兆円のうち、実に44兆円を国債で賄っている。その蓄積が900兆円という借金に膨れている。全国の銀行は資産の約65%を国債で持っており、国債が暴落した時は日本は麻痺する。

国債の多くは日本人がもっているから安心という話はもう過去の話である。1400兆円の金融資産があるから大丈夫という話も、2014年には借金がGDPの300%に達するという見方で打ち消されてしまう。

そうなると、国債デフォルトに陥って預金封鎖、極度の円安、ハイパーインフレという事態に陥らないとも限らない。当然、日本の金融機関が抱える65兆円といわれるアメリカの国債は売りに出されることとなり、日本だけでなく世界的な金融危機を招くことになる。

世界では国の借金がGDPの90%を超えた時点で、経済活動は鈍化するといわれている。日本はすでに2倍以上である。いち早く借金を減らして税収を上げる措置をとらないといけない。

それ以上に、メディアや国民がこの問題を真剣に論じて政府を動かす必要がある。それでないと日本は金融破綻を引き起こす道をただひたすら進むだけとなる。