無駄な時間

NHKの国会中継を観て率直に思う。

「首相はこんなところで無駄な時間を過ごしていてはいけない」

予算委員会は国会の中でも重要な位置づけであることはわかっている。しかし1日中、首相が委員会に座って野党議員の質問にさらされることの政治的利益はどこにあるのだろうか。

時はすでに21世紀である。首相がかかえる案件は以前よりも多岐で複雑になっている。ましてや、今週末にはAPEC(アジア太平洋経済協力)の開催国として、菅はホスト役を引き受けなくてはいけない。

外交で日本がリードし、周辺国との新しい枠組みを作っていくことが急務であり必須の時に、野党議員から国内問題のつまらぬ質問に時間を奪われていてはいけない。

大統領制と議員内閣制の違いは理解しているつもりである。オバマは議会で議員の質問などにはさらされない。そんな時間ははっきり言って無駄である。法案を審議するのは本来議員の役割であって、大統領や首相の仕事ではないはずだ。

内閣は国会との連帯責任があるので、これまで首相をはじめとする全閣僚が国会に出席してきた。だが、質問する側のTV向けのパフォーマンスばかりが目立っている。

オバマはその分、ホワイトハウスで政策の立案と行政にエネルギーを注げる。一方の菅は予算委員会だけで疲れきっている。

委員会での質疑応答が本当に国民のためになり、よりよい法案の作成に有効な手段であればいい。しかしそうではない。そろそろ議員内閣制のシステムを21世紀型に変える時期かもしれない。

首相は日本が本当に必要な分野である経済政策の提言や外交にもっと時間を割かなくてはいけない。時間的な余裕がなさすぎる。これでは的確な政治判断もできなくなって、多くの首相は疲弊して消えていく。(敬称略)