中国からの「ああしろこうしろ」

今朝(4月26日)の日経を読んでいて、気づいたことがあった。それは中国から学ぶという姿勢である。

経済指標を見れば明らかだが、日本は何年も前から中国に多くの分野で超されることはわかっていた。数字上ですでに抜かれた分野は多い。同時に、中国は日本にアドバイスをするようになった。今朝の朝刊にも2つあった。

日本はこれまで、外国から学ぶという時にヨーロッパやアメリカに目をむける傾向が強かった。けれども、いまは中国や韓国から学んでくるという流れができてきた。10年前にはほとんどなかったことである。

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朝刊には精華大学国情研究センターの胡鞍鋼(こ・あんこう)と野村資本市場研究所の関志雄(かん・しゆう)が持論を展開していた。

持論の展開というより、日経の記者が「ご意見を拝聴する」という姿勢の記事であり、2人は日本に辛口の意見を述べている。いささか被害妄想的かもしれないが、2人には「もう中国の方が日本よりも上だから、よく聴くように」と言われている気がする。

胡鞍鋼は日米の社会格差を比較している。両国の格差は広がっているが、中国の方は経済のパイが大きくなる中での格差なので低所得者も頑張ればよい生活が送れるという主張だ。一方、日本は収入が増えない中での格差なので「悪性の格差拡大」であり、解決策がないとまで言う。

また関志雄は日本の英語教育へきわめて現実的な論考をくだしている。私も英語教育には自分なりの思いがあり、実は関の主張とほぼ同じなので異論はない。けれども、関の口調には日本人への蔑みが隠されているようですらある。

日本人が英語を話せないのは、多くの教員が英語を話せないからところに一因がある。

「一向に改善されないのは、日本経済が変われないのと同じで、英語教員が既得権益化し、改革に反対するからです。(中略)中国には来日経験がなくとも、大学で日本語を専攻しただけで、日本語がぺらぺらの人がたくさんいます。でも日本の大学で中国語を専攻しても、なかなか中国語を話せない。この差は何なのでしょうか」

2人の意見を耳にして、今後中国から「日本はああしろこうしろ」と言われる機会が増えるとの観測がある。今朝の記事内容については、冷静によめば正しい現状分析であることがわかるが、読者の中には感情論を持ち出す人もいるだろう。

日本政府は戦後ずっとアメリカの「ああしろこうしろ」といった要求を飲んできた。賛否のほどはともかくとして、アメリカ従属論を堅持することで日本経済が長年上向いてきたことはある意味で事実である。

けれどもアメリカ従属論に食らいついているだけではもはや日本経済の復活がないことが分かってきた今、今度は中国からの「ああしろこうしろ」といった声に耳を傾けることになるだろうかとの問いがある。答えはたぶん「ノー」だろう。

それは日本人が潜在下で抱えるメンツに触れるからである。その摩擦機会が増えると、今後、日中両国で感情的な軋轢が大きくなる可能性もある。

それとも若い世代は中国からの「ああしろこうしろ」に従順にうなづくのだろうか。(敬称略)