堀田佳男 Profile
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メタ情報
カテゴリー: お知らせ ― 2010年3月29日
テレビ、TV、てれび

4月から日本テレビNEWS24の「デイリープラネット」という番組の特別解説員になりました。CS放送なのでスカパーかケーブルでしかご覧になれませんが、時間のある時にご覧いただければ幸いです。初回は3月30日午後8時。

       

                      

カテゴリー: アメリカ社会 ― 2010年3月23日
アメリカ、国民皆保険へ

 by the White House

やっとこぎつけた。

連邦議会下院が21日、懸案の医療保険改革法案を可決した(写真は法案が可決した瞬間のホワイトハウス)。オバマはもちろん法案に署名するので、やっとアメリカにもヨーロッパ諸国や日本のような国民皆保険がうまれることになる。

しかし共和党議員は全員が反対した。いまの議会はこの分野ではみごとに二分されている。日本の政党のような党議拘束がないにもかかわらず、共和党議員は誰一人として賛成票を投じなかった。むしろ民主党から34名の反対票が入った。

共和党が反対する理由は議員によっても違うが、「保険業界が政府にコントロールされる」、「財政赤字がさらに増える」、「月々の保険料が増える」、「税金が無保険者に使われる」といった内容である。

保守系新聞ウォールストリート・ジャーナルは社説で「国民皆保険は健保システムと国家財政の破壊であり、アメリカの自由闊達な企業家精神と自由社会の気質、政府の役割に大きな疑問符が投げかけられる」とこきおろした。

だが、批判が本当に的を得ているかどうか、さらにアメリカ社会にとって有用なのかどうかは始めてみないと判明しない。私はアメリカが大枠の国民皆保険を作ったことは喜ぶべきことであり、「国家の義務」であるとの立場なので民主党の立場を支持する。課題の一つだった公的保険制度を創設できなかった点で、むしろ改革は手ぬるいと考える。

21日下院で通過した法案は、昨年一度通過した法案よりもさらに分厚く(2309頁)、コンピューターでダウンロードして条項を速読すると目が痛くなる。

法案内容の大半は、実はオバマが07年の大統領選で語った内容に準拠していることが再確認できた。というのも、当時オバマ案が成立すると10年間の政府負担は85兆円程度で、無保険者の1500万人ほどは救えないということだったので、ほぼその通りに「落ち着いた」という印象である。

ヒラリー案の方がむしろ徹底していて、無保険者全員をカバーし、予算もオバマ案の1.5倍ほどの規模だった。だから、オバマ案の方がより現実的であり、「とにかく国民皆保険をつくる」という意気込みが法案成立へと押し上げる結果になった。

ひとたび制度ができれば他のシステム同様、修正案で微調整し、将来は本当の意味での国民皆保険にしていけばいい。(敬称略)

カテゴリー: 世界の街角から ― 2010年3月21日
どこの教会でしょうか?

        antigua-church.jpg

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<答:グアテマラ。世界遺産アンティグア市にあるラ・メルセー教会>

今後、世界の街角で撮ったスナップショットを不定期でアップしていきます。でも、ちょっと難易度高いです、、、、。

カテゴリー: 国際政治 ― 2010年3月17日
日米両国が軽視してきたこと

火曜夜(16日)、アメリカ大使館主催の勉強会に招かれ、出席してきた。不定期で開かれる会合のテーマはまちまちで、アメリカの大学教授が講師として話をすすめる。

今回のテーマは「パブリック・ディプロマシー(Public Diplomacy)」。いわゆる広報外交である。日本ではあまり使われない言葉だが、オバマ政権下では「スマートパワー」という言葉に置きかえられもする。

軍事力や経済制裁といったハードパワーではなく、広報活動によって他国に影響を与える外交力である。ただ普天間問題において、パブリック・ディプロマシーはほとんど機能していない。

少なくとも大多数の国民は、日米両政府から発せられる普天間に関する広報活動に気づいていない。あったとしても、影響を受けていない。両政府は広報という点において失敗し、軽視してきた言われてもしかたがない。

勉強会の講師は言った。

「政府はプレスリリースを出すだけで満足していてはいけない。政府が何を考えているかをもっと公開し、市民参加型のフォーラムを開催すべきだ。いまからでも決して遅くない」

単に基地移設問題の収拾だけでなく、多くの国民が東アジアの安全保障という観点から積極的に基地の重要性を認めれば、移設反対の大合唱には発展していなかったかもしれない。

          dscn0301.JPG

カテゴリー: アメリカ社会 ― 2010年3月14日
本のない図書館

電子書籍への動きが加速している。今年に入り、大手出版社21社が協会を発足させるなどの動きがあるが、アメリカではすでに図書館から本をなくした学校さえある。

             

その前段階として、中学や高校で本の教科書をすべて辞めてパソコンを導入する動きがあった。授業だけでなく、宿題や教材の閲覧などもすべてパソコンで行う。2005年、アリゾナ州ツーソン市立エンパイア高校がその先駆けとしてパソコンのみの授業に踏み切り、全米の教育機関が注目した。

               

ペーパーレスのステップの次に、図書館の本をすべて撤去した電子図書館の動きがすでにある。099月、全米の先がけとしてマサチューセッツ州ボストン郊外にある私立高校、「クッシング・アカデミー」が2万冊あった図書館の書籍をすべて撤去して電子図書館へと移行した。

                             

by Cushing Academy

           

同校は145年の歴史がある進学校で、実際に図書館をなくす校長の決断には関係者から、「過激すぎる」との反発もあった。しかし、同校は50万ドル(約4500万円)をかけて図書館にかわる学習センターを設立。持ち運びのできる電子書籍端末だけでなく、大型の備えつけ端末を数多く備えた。

                                     

ジェームズ・トレーシー校長は地元紙ボストン・グローブの取材に答えている。

                

「2万冊の蔵書の多くは古い本です。統計をみますと、生徒たちが10年以上前の本を借りることは少ないのです。電子図書館になると、何百万冊もの書籍を閲覧できるようになり、生徒たちは以前よりもはるかに本を読む機会が増えています。これは21世紀型の図書館モデルといえます」

                      

ただ、実際の本でこそ味わえる質感や、大判の写真集や地図に触れる楽しさは失われる。さらに、電子書籍になると読書以外の「遊び」機能も搭載されているため、読書以外に時間を割かれて集中力が落ちるという憂慮もある。

                  

けれども新時代の図書館としての期待は大きい。すでに同校の教諭たちからは「失うものより得るものの方が大きかった」という反応がでている。

                

一つには、既存の教科書にはない多くの資料や関連書籍にアクセスできるため、より広範な知識を得ながら、これまでとは違う学習方法を容易に試すことができるという点だ。 

           

また伝統的な図書館になれた大人たちより十代の生徒たちの方が「マルチタスク」に優れており、一冊の本に時間をかけるより、同時にさまざまな文書を閲覧し、違うトピックの本を検索できる。英語ではすでに「マルチタスカー」という言葉もある。こうした環境では電子書籍はうってつけである。若ければ若いほど電子書籍への抵抗感は少なく、近い将来には本を手にすることが「時代遅れ」の象徴になる日さえくるかもしれない。

            

さらに今世紀に入り、あらゆる分野での情報量が増えると同時に、書籍の劣化(時代遅れ)も早まっており、時代の流れに適時に対応するためには電子図書館がふさわしい。しかも、これまでの図書館では「貸出中」の本にはアクセスできなかったが、電子図書館ではそうした心配はいらない。さらに新聞や雑誌にもアクセスできるので学習の幅は広がる。

                     

アマゾンの「キンドル」やソニーの「リーダー」という電子書籍端末が今後も進化をつづければ、自分だけの図書館を手元における可能性がある。そうなると、本当の図書館の利用回数が減ることは自然の流れである。

                         

そればかりか、既存の図書館から電子図書館へ切り替わると、長期的な図書館の維持・管理費、書籍の購入費といった総合的な経費が安価に済む。さらに「クッシング・アカデミー」校のように、書籍を撤去した図書館のスペースを違う目的に使用も可能だ。

                     

将来、本そのものがなくなる日がくるかどうかは不確かだが、明らかに出版と図書は次世代に足を踏み入れた。ただ、図書館の電子化にはアメリカでも大きな抵抗があるのは事実で、すべての図書館が消えてしまう日はこないだろう。

(堀田佳男連載:JMAマネジメントレビュー誌3月号から転載)