オバマ政権、もうすぐ1年

by the White House

今月20日で、オバマ政権が誕生して1年になる。

昨年末、『プレジデント』誌上で4回にわけて「オバマの通信簿」と題した短期連載を行い、国内政治、外交、社会問題、日米関係という4分野にわたって初年度の評価を書いた。

誌上でも述べたが、私の総合評価は83点である。

支持率は政権発足当初から比べると30ポイント前後落ちたが、経済危機、イラクとアフガニスタンでの戦争、医療保険改革、教育問題、エネルギー問題などを考慮すると、いまだに50%前後の支持率を保っていることは十分評価すべきだ。ニクソン、カーター、パパブッシュ、ブッシュの各政権が不況に直面したときの政権支持率は軒並み20%代である。

ただ初年度からあまりに多くの難題に同時に取り組みすぎているきらいはある。欲張りすぎとも思えるほどだが、それが彼の公約だったし、中間選挙前までにいくつかの案件のカタをつけておく必要があるので、駆け足ですすむのは致しかたない。 

というのも、中間選挙で民主党はほぼ確実に議席を失うからだ。「やるべきことは今のうちに」ということである。現在民主党は上院で60議席、下院でも256議席(全435議席中)を維持しているが、今年11月の選挙では両院で議席を失う。しかし共和党に過半数を奪われることはないだろう。

目の前にある課題は、すでに上下両院を通過している医療保険制度改革法案をすみやかに法律にすることであり、テロ対策強化である。アルカイダによるテロ未遂事件があったばかりなので、

「アルカイダとは戦争状態にある」

という言葉は真剣である。そのため今のオバマに普天間に気をとられている時間はない。(敬称略)

あけましておめでとうございます

晴れやかな新年である。

日本はデフレ基調の不況下にあっても失業者が道にあふれているわけでもないし、戦時下にあるわけでもない。政府の失態を見聞きしても暴動に発展するわけでもない。

比較の対象が極端かもしれないが、日本人は大げさに騒がないところに美意識を見出しているように思う。取り乱していてはいけないというブレーキがどこかで働いている。それが行動の委縮にまで行きついているようにも思える。

それは本当の意味での「和」とはちがう。消極的なコトなかれ主義による、なにも起こらない現象なのだろう。

たしかに暴動など起こさない方がいいし、戦争もないにこしたことはない。だが、国外からの挑発などで有事があったとき、今の日本はどうなるのだろう。戦意も失せたままだろうか。

東アジアの国際関係をながめると、本気で日本に攻撃をしかける国家はみあたらないが、朝鮮半島や台湾海峡での限定的な有事は可能性がある。さらに国際テロ組織による日本への攻撃がないこともない。

備える、という基本的な考えや議論も失せているので、普天間の移設という安全保障問題でも末梢部分のところで時間とエネルギーがとられている。

平和だと思えるときにこそ、安全保障問題を真剣に考えるべきである。