妥協したくないもの

誰しもがいくつかのこだわりをもっているかと思う。自分の流儀というものだ。

そこまで大げさでなくても、飛行機に乗るなら日航ではなくANAにしているとか、シャンプーであれば資生堂ではなくロクシタンに決めているといったものだ。私はどちらでもいい。

食べものについても多くの人がこだわりを持つ。こだわりというより「自分の好きなモノ」と書いたほうがいいかもしれない。論理的なことにとらわれず、好き嫌いで決められるのでスッキリする。

私は食べ物にたいへん興味があるので、日本にいても外国に行ってもできるだけいろいろなものを食べるようにしている。ただひとつだけ、妥協しないモノがある。

鮨である。

そのほかの食べ物はファーストフードでも屋台でも、その場に応じてなんでも食べるが、鮨だけはおいしい店にしかいかないことにしている。たまに例外はあるが、、、、。

おいしいという言葉はひじょうにあいまいだが、自分の中の基準を満たす店だけということである。これは自分で決めている「ちょっとした贅沢」である。

だから回転ずしにはいかない。お腹がへっていて目の前に回転ずししかないような時でも、いや、そういう時だからこそ回転ずしには入らない。それならコンビニに入っておにぎりを食べる。

接待で鮨屋にいくこともあるが、気分的においしさが半減すると同時に満足度も下がるので、自分でいく。日本全国にどれくらい鮨屋があるか知らないが、私の基準の「ウマーイ!」水域に入ってくるのは30店前後しかないだろうと思う。

もちろんそうした店にネタケースはない。ネタケースは冷蔵庫なので、そこからネタを出してすぐ握っている鮨屋は水域外である。「ウマーイ!」鮨屋は自分のためにシャリを用意してくれ、さらに途中でシャリを差し替える。

会席もすばらしいが、鮨も繊細かつ精緻で、透き通るように美しい食べ物である。それだけにこちらもこだわざるを得ない。

満足のいくまで食べると少々値が張るが、鮨屋にいった時だけは伝票を気にしないようにしている。

最後に、最近気に入っている鮨屋をご紹介しておく。

鰤門(しもん)。銀座5丁目。

      

ウィキペディア

このブログを読んでおられる方ならウィキペディアはご存じだろう。

サンフランシスコに本部を置く同社は2001年、無料の「ネット百科辞典」としてたちあげられた。同社の広報部長が東京に来ていたので19日、お会いした。

たとえば、グーグルで「鳩山由紀夫」と入力すると380万件もの検索結果がでる。そして画面の最初に登場するのがウィキペディアのサイトである。それほどネット百科事典であるウィキペディアは読まれるようになった。

利用者は世界中に何億人もいるが、給与を受け取っているスタッフは34人しかいないことを知った。書き手はすべてボランティアなので原稿料は発生しないからだ。

それでは会社が「ぼろ儲け」しているかと思いきや、そんなことはない。グーグルやヤフーとちがって創業以来、いっさい広告をとらない。

「創業者であるジム・ウェールズ氏の考えなので、今後も広告はとらないでしょう」

しかし会社を運営するためには経費が発生する。彼らはほとんどを献金でまかなっており、ほとんどのユーザーはこの事実を知らない。これは応援しないといけないないと思うことしきりである。というのもひんぱんにネット百科辞典を利用するからで、いままではIT企業らしく莫大な利益がでているものと勝手に思い込んでいた。

今後は他社との提携を視野にいれながら、相変わらず無料でネット百科辞典を提供しつづけるという。

カネに目が眩まない人たちが運営している点でウィキペディアは貴重である。

         

連載:オバマ東京演説「薄い内容」の理由

オバマあらわる

14日は朝から小雨が落ちていた。

東京港区のサントリーホールでオバマの講演が午前10時からあり、アメリカ大使館から招待状を受けていたので出かけてきた。

感想、、、やや落胆。

午前10時からの講演で、午前8時までに会場に着くようにという要請だった。これは「セキュリティー・スイープ」という警備に時間がかかるからで、大統領が講演をするときにはアメリカでは慣例になっている。

まず会場を空にして、爆発物などが仕掛けられていないかをチェックし、そこから一人ずつ金属探知器をくぐらせて入場させる手法だ。そのために多大な時間がかかる。それは仕方がない。

驚いたのは、サントリーホールの1階のうしろ半分に人があまり座っていなかったことだ。大ホールは約2000席あり、比較的ガラーンとした部分は500席ほど。そのあたりには4分の1しか人が入っていない。オバマ本人もたぶん驚いただろう。

オバマの講演で会場が満席にならないことは皆無にちかい。来日の日程が急きょ変更になったこともあるが、仕切りが悪すぎた。ホワイトハウスが仕切っていたら、空席が一つでもあると間違いなく誰かを座らせる。

さらに講演内容が多岐におよんでいたため、散漫になってしまった。日本の新聞はかなり良心的で大きな扱いをしていたが、目を見張るポイントは少なかった。

私の期待が大き過ぎたのかもしれない。プラハの核兵器廃絶やカイロでの中東和平と同じレベルで、東アジアの外交目標が聴けると思っていたからだ。たとえば「朝鮮半島を必ず非核化する」とか、中国、ロシア、北朝鮮へのけん制も含めて「東アジアでは絶対に有事は起こさせない」という宣言を期待した。

しかしオバマが口にしたのは、アメリカも太平洋国家であり、これからはアジアにおける多国間の枠組みに関与していくという想定内の内容だった。それは東アジアではアフガニスタンや中東のような深刻な問題がないことを意味してもいるが、本当にオバマが今後アジアへの関与を地球の他地域と同じように積極的にすすめていくかどうかはわからない。

たぶん今のオバマの心中の半分ほどは、アフガニスタンへ米兵を増派するかどうかで占められているはずだ。日本のことは残念ながら、中国の半分くらいの割合でしかないだろう。(敬称略)

             by the Whie House

オバマ初来日

                by the White House

オバマが13日夜に初来日する。シンガポールのAPEC(アジア・太平洋経済協力会議)に出席するため、まず東京に立ち寄る。ビル・クリントンが98年、日本に寄らずに中国に行ったことから「ジャパン・パッシング(日本通過)」といわれて日本国内で騒がれたことをアメリカは忘れていない。

APECがなければ、今オバマが日本に来なければいけない理由はないが、来年で日米安保改定50周年を迎えることもあり、「安保再生」という意味合いで両国が同盟関係の再確認をすることには意味がある。けれども、両国首脳が顔を合わせると、いつも「日米同盟の重要性を確認した」と報道されるだけで、新しい安保の形にまではいたらない。

それは相変わらず日本が、アメリカの対応を気にした「こて先外交」に終始しているからにほかならない。

アフガニスタンの復興支援に5年で50億ドルをだすが、鳩山は先週「自衛隊をアフガニスタンの復興支援に派遣する発想を持ちあわせていない」と発言し、相変わらず「小切手外交」も繰り返している。

その背後には「アメリカを喜ばすため」という意識が見え隠れする。外交儀礼はどの国にもあるが、アメリカをことさら喜ばすために自国の意にそぐわないことをすべきではない。アメリカを恐れることはない。

アフガニスタンで本気の支援をしたいのなら、カネではなく人とモノを送り込んで現地政府と密接な連携を強化していくしかない。そのためにも、鳩山政権は日米安保を基礎にした、明確な日本の安全保障戦略を打ち出すべきである。いや、それこそが両国にとって、また東アジア地域、さらに地球全体にとって良策になるのである。

かりに自衛隊を送りたくないのなら、米軍のアフガニスタンからの撤退を促すと同時に、対テロ対策の別次元での対応策をうちださなくてはいけない。

鳩山が真剣に「日米の対等な関係」を望むのであれば、積極的に国際的な役割を果たさざるを得なくなる。いやそうしなくてはいけない。だが現状をみるかぎり、その可能性は低く、外交については昔のままの日本である。(敬称略)

気温のナゾ

東京は穏やかな晩秋の日が続いている。11月初旬であるにもかかわらず、コートなしで外出できる。

昔を思いかえしてみると、小学生の頃の方が確実に寒い日が多かった。普通であれば、ここで地球温暖化という言葉がでるのだが、私はかねがねその信憑性に疑問をいだいてきた。

その発端はアラスカ州のイヌイット(エスキモー)の取材をした時にさかのぼる。北極海の氷が溶け出すスピードが速まり、北極海をおおう氷の面積が減っている。周囲の自然を知り尽くしているイヌイットは、驚いたことに「化石燃料のせい」といわなかった。

1年365日、狩りをしていたビリーは、イヌイットに何万年も伝承される「かれら流の自然」の話してくれた。

 by NASA

「いまから1万5000年くらいまえに氷河期が終わっている。いまは間氷期だから気温があがるのはあたり前さあ。イヌイットの暦って知っているかい。365日じゃないんだ。氷河期のサイクルなんだよ」

「ホントウ、、、、、」

すぐには信じられなかったが、気温の上昇を氷河期のサイクルとして捉えていたことには驚かされた。

少し調べてみると、アカデミズムの世界でも地球温暖化を化石燃料の燃焼として説明する理論と、「地球軌道の変化による放射強制力の上昇」とする理論があり、後者は氷河期のサイクルのことをさしている。

人間が気温や大気のことを科学的に分析しはじめたのは20世紀に入ってからにすぎないが、コンピューター・シュミレーションなどから、過去の大気中の二酸化炭素濃度やメタン濃度などがわかってきている。

そうしたデータをみるかぎり、前回の間氷期だったおよそ12万年前の南極の気温はいまより摂氏3度も高かった。二酸化炭素濃度やメタン濃度も現在より高かったと推測される。

そこから言えることは、温暖化は化石燃料の燃焼だけではないということだ。時間軸を計算すると、いまはさまに間氷期であり、気温が上がる時期なのだ。もちろん数万年後にはまた氷河期がやってくるので、寒冷地帯は凍りつく。過去40万年のシュミレーションデータをみるとそうしたことが推論できる。

だからビリーの話は外れてはいなかった。

けれども、間氷期の理論だけを温暖化の理由にしてしまうと、いまのグリーンエネルギーへの努力が無駄になるから、無節操に石油や石炭を使い続けるべきでないことは言うまでもない。