金融ブームふたたび

ダウ平均株価が1万ドルを超えた。今年3月9日に底値を打ってから急速な回復をみせている。

しかし、過去20年以上エコノミストによる株価の予想を見聞きしていても、見事なまでに外れることが多いので今後の動きはわからない。本来わからないことをわかったように言うために誤算が生じるのだ。

株価は経済成長と密接な相関関係があるため、上昇をつづければ投資家が資金を市場に投入する動きが活発化することは確かだ。ただ今年の動きをみるかぎり、今後、乱高下のサイクルが早まるようにも思える。

        

               

上げ潮に乗った株式市場は急速に加熱されれば再びポーンと弾けて冷却される時がくる。急速な株価上昇は新たなバブルを生み、それがまた炸裂するというサイクルである。

それだけ社会の金融への依存度が高まっていると同時に、投資家だけでなく一般市民の間にも「楽をして儲ける」という心理が増幅している。いやすでに、アメリカの金融界にまん延するその意識は、金融危機以前に戻ったとみていい(参照:変わらぬ米金融界)

一昔前であれば、「カブ屋と高利がし」という言葉でさげすまれた職種であり業界である。本質的には人のカネを使ってその利ザヤで儲ける商売だが、いまや政府でさえコントロールできなくなるほど肥大化したところに社会的ひずみが潜む。

オバマ政権は規制をかけるつもりだが、自由化と規制の狭間にゆれざるを得ないのが現実の世界だ。今後の展開を確実に読める人はだれもいない。