鳩山をみた夜

民主党代表選挙を控えた水曜(13日)夜、六本木のANAインターコンチネンタル・ホテルの地下1階で、民主党衆議院議員小沢さきひとの後援会があり、出かけてきた。

小沢一郎ではなく小沢さきひと(山梨1区)、、、である。鳩山由紀夫のフトコロガタナといわれる政治家で、腰の低い、柔和な人である。私は後援会に所属しているわけではないが、以前、鳩山グループから講演を依頼された時に知り合った縁だ。

ざっとみて400人くらいはいただろうか。同じ民主党議員も20名ほどがかけつけていた。キッコーマンCEOの茂木友三郎、連合(日本労働組合総連合会)会長の高木剛の姿もあった。もちろん鳩山も駆けつけた。檀上に上がると、その日の主役である小沢さきひとの注目度を当然うわまわる。座っていた参加者が総立ちになって耳を傾けた。

「いよいよ見えてきたな。いよいよ政権交代だな、と思っています。身を捨ててこの国を救いたい」

その晩は正式な出馬表明の前夜ということもあり、「代表選に出ます」とは明言しなかった。

そうした状況を踏まえても、鳩山のスピーチからは首相になってこの国をリードしたいという強い意志が感じられなかった。印象はむしろ「リーダーとしては弱い」というものだった。アメリカの政治家ばかりを20年以上も見てきたからというわけではない。一言でいえば、リーダーに必須なカリスマ性が鳩山にはないのである。

「オーラがないですよ」

会場でばったり会った知人の政治ジャーナリストはいった。

鳩山はこれまで小沢一郎とタッグを組んできたことで、今は院政とか傀儡といわれるが、それが真実であってもなくても、「こいつならついていこう」という思いはその場では抱けなかった。旬な政治家のはずだが、ナマで聴いていても鳥肌が立つほどのインパクトはない。麻生よりはベターというレベルである。

その晩は定期で参加している議員との勉強会もあったので出席した。当然のように「鳩山では自民党には勝てない」という内容が話し合われた。小沢一郎の息のかかった議員(選挙資金などを工面してもらっている)たちは、それがわかっていながら鳩山を推さざるを得ないという、まるで自民党の政治論理がそのまま民主党にも息づいているかのようである。

「小沢(一郎)は自民党の手法を民主党にも持ち込んでいる」

もし民主党が総選挙で負けたときは、これが敗因の一つとなるはずである。(敬称略)