100万回コール

オバマが民主党の指名候補になるだろうことは、大統領選挙にあまり関心のない方でも、すでに感覚的に分かっている。飲み屋の席でも「彼で決まりだよ」というセリフを聴いた。

ヒラリーとオバマしかいないのだから、「二人のどちらか」と問われれば、流れとしては「オバマ」が外さない答えである。

私はいちおうこの分野の「プロ」なので、この状況下でヒラリーの選対がどういう戦術を打ってくるかにおおいに興味がある。そうしていると先週、ヒラリーの選対からEメールがきて、電話勧誘を強化するという。電話勧誘は、戸別訪問と合わせて数をこなせばそれなりに数字があがる古典的な戦術だ。

Eメールには目標100万回!と謳われていた。もちろんコールセンターを設置して、ボランティアを中心に、これから予備選が行われる州の有権者に電話をかけまくる。すると1週間もたたずに目標が達成され、2月23日現在、142万回という数字をだした。

ただ、全米レベルでオバマとヒラリーのどちらを支持しますかとの世論調査では、いまだにギャラップ調査で45%対44%でヒラリーがリードしている。フォックスニュースの調査では両者とも44%で互角だ。だが、それがどれだけの票につながるかは別問題だ。

3月4日のミニチューズデーでは、大票田のテキサスとオハイオで、ヒラリーがこれまで確実にリードを保っていたが、テキサスはオバマにひっくり返されそうである。オハイオもわからない。となると、ヒラリーにもう勝ち目はない。

それではオバマがいつ2025というマジックナンバー(代議員の過半数)に達するのだろうか。アメリカの選挙のプロたちも代議員数の計算を何通りもしているだろうが、私の計算では、オバマが残りすべての予備選州で60%の勝率で全勝しても、2025には足りない(計算にはスーパーディリゲーツが含まれない)。

ヒラリーが「ヤーメタ」といって辞退すれば別だが、彼女が6月3日まで戦い抜くと、一般代議員数では勝敗がつかない。あとはスーパーディリゲーツがどう票をとうじるかだ。スーパーディリゲーツ数は2月23日現在、ヒラリー234、オバマ161(CNNの算出)で、ここまで党関係者は「重鎮」であるヒラリーに一票をいれる人が多かった。

今後はオバマに票が集中するだろう。意を決めかねている400人のスーパーディリゲーツの7割が、今後2カ月間でオバマに決めると、5月下旬に決まる可能性がある。

今度はヒラリーの悲嘆の涙が見られるのだろうか。(敬称略)